党員除名が示した共産党の異常性

日本共産党が、党首公選制を主張したり、志位和夫委員長の辞任を求める著書を出版したりした党員2人を相次いで除名処分とした。民主集中制の下、党内の言論を封殺するという共産党は、まさに言論の自由を認めない政党であり、日本の民主主義社会さえ認めなのだろう。
今回の処分について共産党は、「党内に派閥・分派はつくらない」、「党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為はおこなわない」、「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」などの党規約に反する重大な規律違反があったとしている。
確かに、規約の第3条の4項には「党内に派閥・分派はつくらない」と規定されているが、第5項には「意見がちがうことによって、組織的な排除をおこなってはならない」との規定もある。この5項は言論封殺をしないための規定であり、共産党はこの規定を自ら無視したのだ。
日本共産党は綱領で「日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革が、課題となる」とし、社会主義、共産主義の社会形成を目指していることを明言している。
しかし、社会主義が、人々の自由を奪い、社会の活力を生み出さないことは、ソ連をはじめ東欧諸国が次々に崩壊したことでも明らかだ。
綱領ではさらに、「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される」としている。
私有財産の保有を認めることで、いかにも自由な社会を守るかのような説明をしているが、それは虚言にすぎない。
「生産手段の社会化」は、ソ連も中国もそれを実施し、そのために国民の自由を奪ったのだ。どんなにソフト路線をとり、微笑みを振りまいたとしても、生産手段を社会化は国民の権利の制限の始まりであることは間違いない。
ただ、このようなことを述べるまでもない。志位氏が委員長に就任したのは2000年。20年以上も委員長が代わらないことだけをみても、共産党の異常性は明らかなのだが。