近視眼の野党は未来に責任を持てるのか
新型コロナウイルス感染症対策や経済対策などを盛り込んだ2021年度補正予算が20日、成立した。立憲民主党や共産党などの野党は緊急性の乏しい事業が盛り込まれているなどとして反対した。確かに成長戦略や防災・減災対策、防衛費などが計上されているが、野党から見れば緊急性の乏しいこうした事業が日本の将来にプラスになる。近視眼的に反対する野党は日本の未来に責任を持たないのだろう。
補正予算の、一般会計の追加歳出は過去最大の35兆9895億円で、21年度の歳出総額は当初予算から3割増の142兆5992億円となる。政府は今回の補正予算と2022年度予算案を「16カ月予算」として一体的に編成することで、切れ目のない予算執行を行う方針だ。
補正予算は①新型コロナウイルス感染症の拡大防止②「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え③未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動④防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保-の4つが柱。
病床確保などを進めるための新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金2兆314億円などの医療提供体制の確保や、18歳以下への10万円相当の給付費用に1兆2162億円、住民税非課税世帯への10万円給付に1兆4323億円、時短要請に応じた飲食店への協力金支払いなどのための臨時交付金に6兆4769億円などを盛り込んでいる。
成長戦略では、科学技術立国を実現するための大学ファンドに6111億円、最先端半導体などの技術開発に1100億円、先端半導体の国内生産拠点の確保に6170億円などを計上。
また「防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保」には全体で2兆9349億円を盛り込んでいる。
補正予算に反対した野党は、こうした成長戦略や防災対策について「緊急性が乏しい」と判断したわけだ。
事実、立憲民主党は臨時国会で補正予算案への組み替え動議を提出しているが、例えば、年度内に執行が困難として国土強靱化を促進する公共事業関係費9530億円や防衛費4287億円を22年度予算で計上すべきとしていた。
また、沖縄県の米軍普天間飛行場の返還の前提となる名護市に建設中の辺野古の代替施設の建設費用801億円などを不要としていた。
その上でさまざまな給付金などを設け、組み替え後の補正予算の歳出規模は、成立した補正予算をはるかに上回る43兆8065 億円としていた。国土強靱化など災害対策を「緊急性の乏しい」事業としているのだから、立憲には新型コロナだけが国民の安全安心を脅かすものと映っているに違いない。
防衛費もそうだし、辺野古の代替施設もそうだ。切れ目のない執行をすることが必要だということが理解できないのだろう。
もっとも、否決されることを前提に、国民にいい顔を見せたいがための組み替え動議なのだろうが、こうした姿勢では日本の未来に責任を持っているとはいえない。
(terracePRESS編集部)