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国民への協力要請は考えないメディアの立場

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言は首都圏1都3県に、新たに大阪府、福岡県など7府県を対象地域に加えた。今回の感染拡大には「国民の自粛疲れで、去年ぐらいからなかなか協力が得られなかった」(対策分科会の尾身会長)というのも背景の一つにある。しかし、情報を伝えるべきメディアは、政府批判はするものの、国民の行動の在り方にはあまり関心を示していない。

 

読売新聞は14日付け朝刊で「緊急事態拡大 今まで以上の危機感が必要だ」と題した社説を掲載している。今回の対象拡大について「大阪や愛知、福岡でも年明けから感染者が急増している状況を考えると、妥当な判断だと言えるが、追加発令の大半は知事側の強い要請に基づくもので、後手に回った印象は拭えない」と政府に対応の遅れがあることを指摘している。

 

もちろん政府の対応遅れなどの批判は、それが政府の行動変容を促す意味で不可欠だ。同社説が「飲食店の営業時間短縮や在宅勤務、不要不急の外出自粛など、一人一人の取り組みが重要になろう。政府がもっと国民の心に響くメッセージを発し、一層の協力を呼びかけることが不可欠だ」と強調していることも当然だ。

 

だが、共同通信社が9、10両日に実施した全国電話世論調査によると、1都3県に再発令した緊急事態宣言のタイミングについて「遅過ぎた」との回答が79.2%に上っている。これをみれば、国民が危機感を抱いていない、現状を認識していないわけではない。

 

国民が現状を認識していながら、行動に結びついていないのだ。だからこそ、政府がメッセージを強く発信することも重要だし、メディアも国民に警鐘を鳴らすべきだ。それがメディアの責務でもある。

 

読売新聞は同社説で「若年層は感染者数が急増している。無症状や軽症で済むケースが多いため、年末年始の行動に緩みが出た可能性がある。重症化しやすい人にうつさないよう、今一度、気を引き締めてもらいたい」と国民に呼びかけている。

 

しかし、多くのメディアはこうしたメッセージを発信していない。ちなみに朝日新聞の最近の社説をみると、「宣言再発出へ 対策の全体像速やかに」(5日)、「再び緊急事態 感染抑止に総力あげよ」(8日)、「緊急事態宣言 事業者支援が不十分だ」(9日)、「変異ウイルス 流行を想定して備えよ」(12日)、「宣言地域拡大 態勢の立て直しを急げ」(14日)など、さまざまな論を張っているが、すべてといっていいほど政府の対応の遅れの指摘、批判だ。8日付け社説で「鍵を握るのは、幅広い国民の理解と協力に違いない」と述べている、その国民の理解と協力を得る役割は政府だけと考え、自らがその責務を負っているとは考えてないらしい。

 

他国も同様だが、新型コロナは日本にとって〝危機〟であることは間違いない。その危機に際して政府批判だけをしていれば事は済むと考えるメディアがあることは、日本の悲劇でもある。

 

(terracePRESS編集部)

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