保守票目当てに「自衛隊員応援議連」を作った立憲の思惑
立憲民主党の有志議員がこのほど自衛隊員の処遇改善などを求める「自衛隊員応援議員連盟」を設立したという。ロシアのウクライナ侵略など国際情勢が緊迫している中で、参院選を念頭に、自衛隊員の処遇改善を目指すことで保守層にアピールする狙いに過ぎない。
議連の会長には枝野幸男前代表が就任。泉代表のほか野田元首相らが呼びかけ人となり党所属議員約70人が参加したという。前代表の枝野氏や泉代表、党最高顧問の野田氏が中心となっているので、議連とは言え党の取り組みと考えてもいいのだろう。
しかし、立憲民主党は、「自衛隊違憲論」を解消するため、自衛隊をきちんと憲法に位置づける憲法改正議論には一貫して後ろ向きの姿勢を示している政党だ。
自衛隊を合憲と言う憲法学者は少なく、中学校の大半の教科書が違憲論に触れている中で、日本の防衛を強化するためには、そうした状況がある限り憲法上の位置づけが必要だ。
確かに立憲は参院選の公約で「専守防衛との整合性など多角的な観点から検討を行い、着実な防衛力整備を行う」「総額ありきではなく、メリハリのある防衛予算で防衛力の質的向上を図る」などとの公約が並べているが、自衛隊の憲法上の位置づけについては何の言及もない。
さらに予算についてもそうだ。「専守防衛との整合性など多角的な観点から検討を行い、着実な防衛力整備を行う」と主張しているが、それも〝言葉遊び〟に過ぎない。
政府の経済財政運営と改革の指針2022(骨太方針)では、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が国内総生産(GDP)比2%以上の国防予算を目指していることを紹介した上で、新たに「国家安全保障の最終的な担保となる防衛力を5年以内に抜本的に強化する」としている。
これについて立憲の杉尾秀哉議員は13日の参議院決算委員会で「防衛力強化策として具体的に何が必要だと考えるのか」などと質問している。
これに対し岸田首相が「防衛予算の具体的な数字については、従来から年末に向けて国家安全保障戦略をはじめ重要な安全保障文書をしっかり改訂していくと申し上げている。その中で国民の命や暮らしを守るためには何が必要なのかこれをしっかり積み上げていく。積み上げた結果、必要とする予算を確保していく」と答弁している。
岸田首相の言うとおり、安全を守るためには何が必要かを精査し、それに基づいて予算を決めることは当然だ。
しかし、杉尾議員は立憲民主党が公約で「多角的な観点から検討を行い」としているにもかかわらず、「総額を言え」「財源はどうするのか」の一点張り。これが立憲民主党の本音だ。
いくら「自衛隊員応援議員連盟」を設立し、自衛隊への理解があるようなふりをしても、本質は反自衛隊政党にすぎない。
(terracePRESS編集部)