必要なのは〝強い子〟を目指す政党
「弱い子がいじめられる。強いやつはいじめられない」。自民党の麻生副総裁が先ごろ、遊説先で安全保障の必要性をこう説いたという。冷酷な国際政治の中では、〝弱い国〟が強い国に侵略されるというのは歴史的事実だ。安全保障だけでなく、日本は強い国を目指すべきだ。
麻生副総裁は演説で「強そうな国には仕掛けてこない。弱そうな国がやられる。そういうもんでしょうが。『やり返される可能性が高い』と思われて、はじめて抑止力になる」と指摘。
その上で「昭和30年11月、自民党結党このかた、我々は安全保障が大事である、憲法に断固明示すべきだと言い続けてきた。有事法制、国民保護法制、平和安全法制、みな自民党がやってきた。我々は確固たる自信があります。こういったことが今、最も必要とされている時代になってきている。そういうことがわかっている政党が政権を担うべきだ」と強調した。
現在、安全保障を充実させ、強い国、すなわち抑止力を強化する必要性があることは、麻生副総裁の指摘通りだ。それはロシアのウクライナ侵略を見るまでもないことだろう。
必要なのは安全保障だけではない。例えば、経済力もそうだ。経済大国としての地位を維持しなければ、日本は豊かな社会を子どもや孫など次世代に引き継ぐことはできなくなる。
現在、日本の食料自給率は、カロリーベース総合食料自給率をみると、2020年度で37%だ。カロリーベースで見た場合、60%以上を海外からの輸入に頼っていることになる。
もう1つ、自給率は生産額ベースで見る場合もあるが、こちらは2020年度で67%となっている。カロリーベースより自給率は上がるが、それでも30%以上は輸入だ。
どちらでみても、日本は輸入がないと現在の食生活を維持できなくなるわけだ。
世界には現在、食料が潤沢に供給されているわけではない。今も、食糧難に直面している国もある。そうした中で日本が食料を輸入できるのは、日本に経済力があるからにほかならない。
経済力がなければ防衛力の整備はもちろん、食料の輸入も困難になる。立憲民主党は「生活安全保障」などと、現世代への利益提供ばかり主張するが、真に必要なのは、次世代に豊かで安全な国を残すという大局観だ。
もちろん、現役世代の生活を安定させることは必要だ。それと同時に日本を今後も成長させる戦略も必要だ。立憲民主党のように配分重視では、経済が縮小していくのは火を見るより明らかだ
麻生副総裁は安全保障に焦点を当て「そういうことがわかっている政党が政権を担うべきだ」と訴えたが、野党は、安全保障も経済成長もほとんど〝分かっていない〟のが実状だ。
(terracePRESS編集部)