日本は国葬さえ批判する薄っぺらな国なのか
安倍晋三元首相の国葬が9月27日に営まれる。国葬をめぐっては一部メディアなどが否定的な意見を垂れ流すなど、国民が反対する〝空気〟を醸成している。それも、明確で合理的な根拠がないままの批判だ。安倍氏は憲政史上最長の首相を務めた政治家だ。その政治家の死を国として弔うことにどんな問題があるというのか。日本は、それほど〝薄っぺらい〟国なのだろうか。
安倍氏が亡くなった翌日の7月9日、インドのモディ首相は半旗を掲揚することを指示し、「インド政府およびインド国民は、安倍晋三元首相の早過ぎる死去を深く憂慮し、ご家族、友人、国民に心からの哀悼の意を表する」(インド外務省)として国を挙げて喪に服した。
日本では政府が半旗掲揚を指示したら、共産党などがそれだけで反発するだろうが、それが他国では国を挙げて半旗を掲げて弔意を示したのだ。
モディ首相は手記で「安倍晋三氏は、世界有数の政治家、傑出した指導者であり、世界をより良い場所にするために人生を捧げた。経済や世界情勢に関する彼の鋭い洞察は常に私に深い印象を与えてくれた」などと記し、安倍氏の功績を高く評価した。
もちろん安倍氏の功績は外交だけではない。第2次政権がスタートした2012年12月は、民主党政権の経済政策の無策もあって不況の真っただ中だったが、それがアベノミクスにより経済に明るさが戻ったし、東日本大震災からの復興に尽力した。また、新型コロナウイルス感染症のまん延という未曾有の事態に直面した際には、初めての緊急事態宣言を発出するなど、手探りにならざるを得ない中で、他の先進各国と比べ、格段に少ない感染者、死亡者にとどめたことも事実だ。
しかし、こうした功績を一つ一つ紹介しても、いわゆる左派の市民活動家、共産、立憲民主党などの野党、一部メディアなどもともと安倍氏の政策に反対していた勢力からすれば「功績とは言えない」ということになるだろう。
だが、安倍氏が第2次政権の連続在任日数が2822日、通算在任日数が3188日だったことは紛うことなき事実で、それだけ国民の支持があったということだ。それが安倍元首相の真実だ。
こうした安倍氏の功績を前提に、国葬とともに国民が弔意を表すことができるようにと、20代から30代の企業経営者らが8月25日、「ありがとう安倍元総理」と題した「デジタル献花」のサイトを開設した。サイトでは、「献花する」をクリックするとアカウント名、年齢とともに安倍氏へのメッセージも記入でき、30日夕時点で約8万6000人に達している。
そこには「ご冥福をお祈りします。 安らかにおねむりください。 若い世代が日本のために頑張っていきます。まず大学受験頑張っていきます」(ごー 17歳)、「ご冥福をお祈りいたします。これまで日本のために働いてくださりありがとうございました。『美しい国』であり続けれるように私にできることを日々頑張っていきます」(アマレ 40歳)など若い世代から高齢者まで多くのメッセージが寄せられている。
安倍氏は自由、民主主義といった普遍的価値を大事にし、だからこそ、その普遍的価値や日本への脅威から守ることに強い信念を持っていた政治家だ。
その政治家を異論もなく弔えるような国が、メッセージにあるように「美しい国」なのだ。
(terracePRESS編集部)