「横に置く」でごまかした立憲民主党と共産党の〝閣外協力〟
立憲民主党と共産党が夏の参院選に向けて、昨年の衆院選で両党が交わした立憲民主党政権実現時の共産党の「限定的な閣外からの協力」に関し、「横に置く」との表現でいったん棚上げにした。「横に置く」という曖昧な表現で、立憲民主党と共産党の関係を曖昧にすることで、立憲の支持母体である連合や有権者からの批判をかわすのが狙いだ。
立憲民主党の西村幹事長と共産党の小池書記局長が9日、国会内で会談し、棚上げが決まったという。
共産党側はこれまで「国民への公約であり、引き続き維持、発展させるべきだ」と求めてきたが、立憲側は「今回は参院選なので政権合意は必要ない」と主張したという。
この結果、小池氏によると「折り合わなかったので今回は横に置くことを確認した」という。
一方、立憲民主党の説明では、①政権構想の枠組みについて、今回は議論は横に置く②政策の枠組みを確認したうえで、勝利する可能性の高い選挙区から優先して候補者調整を行うことで合意したという。
立憲側、共産側の説明とも「横に置く」という言葉を使っているので、これは両党で表現を調整したものなのだろう。
立憲の西村幹事長は記者会見で、政権構想の枠組みについて「将来的なことについて、なにか今日のことが縛りをかけるとか、そういったことではない。限定的な閣外からの協力ということの議論は横に置くということで合意した」と述べているから、少なくとも今回の両党の合意は、「限定的な閣外からの協力」という考えがなくなったものではないのだろう。
ロシアのウクライナ侵略で国際的な緊張が高まっており、それはアジアも例外ではない。共産党は、日米安保条約を廃棄し、自衛隊を憲法違反としての将来的な解消を目指している政党だ。
志位委員長は最近になって「急迫不正の主権侵害が起こったときはあらゆる手段を行使する。当然、自衛隊にも頑張ってもらう」などと主張したが、将来的な解消を目指していることには変わりはない。
昨年の衆院選後に就任した立憲の泉代表は共産との関係は「白紙にする」と主張していたが、それでも西村幹事長が言明したように、「限定的な閣外からの協力」に対して縛りをかけるものではなく、「横に置く」だけだそうだ。
つまり、多くの批判があった「限定的な閣外からの協力」については、今はそっとしておいて、参院選で32ある1人区での両党の候補者一本化を進めようということなのだ。
結局、そこには「限定的な閣外からの協力」への有権者の疑問や批判に答えようというものではない。単に、参院選の両党の候補者調整に向けた環境整備であり、有権者の目くらましでしかない。
(terracePRESS編集部)