農林水産物の輸出加速で地域の活性化を
農水省が2023年度から、農林水産物の輸出を加速させる。そのため、官民一体となった海外での販売力の強化や輸出に挑む農林水産事業者の支援、政府一体となった輸出の障害の克服などを促進する。ポストコロナの国内農林水産業の活性化のためには、輸出促進がますます重要になっている。
政府は農林水産物・食品の輸出額の拡大を目指し、輸出額を2025年までに2兆円、30年までに5兆円とすることを目標に掲げている。
輸出額は現在、順調に増大し、2016年に7502億円だったのが21年には1兆2382億円に達している。
21年の実績を品目別に見ると、日本酒やウイスキーなどの「加工食品」が約4595億円、「畜産品」が約1139億円、「野菜・果実等」が約570億円、「水産物(調整品除く)」が約2336億円などとなっている。
21年は前年より2522億円増、25.6%の伸びだったから、順調にいけば25年の目標である2兆円の到達は可能な状況だ。22年1-7月も前年同期比で966億円増、14.3%の伸びだった。
政府の支援などもあり海外での日本の農林水産物の知名度は高まりつつあり、ジェトロが7月にブラジルで実施した調査では、高所得者層の50%が「日本産和牛を認識」しているほか、有効回答数の79%が「今後も和牛を食べたい」としているという。またコメについては有効回答数のうち95%が「今後も日本産精米を食べたい」と回答したという。
こうした状況の中で農水省は来年度予算に「2030年輸出5兆円目標の実現に向けた『農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略』の実施」として本年度当初予算より約34億円増の約141億円を要求した。
輸出促進に向けては ①品目別輸出目標の達成に向けた官民一体となった海外での販売力の強化 ②マーケットインの発想で輸出にチャレンジする農林水産事業者の後押し ③省庁の垣根を超えた政府一体となった輸出の障害の克服等-の3項目が柱となっている。
特に、消費者の要望・ニーズを把握して商品を開発し、市場に出すマーケットインを強化し、主要な輸出先国・地域で、ジェトロ海外事務所などを活用した輸出支援プラットフォームを設置・運営し、輸出先国の規制、消費者ニーズなどをとりまとめたカントリーレポートを作成。その上でオールジャパンでのプロモーション戦略の立案など輸出事業者を支援する。
その上で「ジャパンウィーク」の開催など現地主導でのプロモーションの推進や商流開拓の支援、効果的な広告の打ち出しや法律相談の提供を通じた現地事業者への支援、 現地の日本食レストランを活用した日本食の普及支援などさまざまな支援策を実施する。
国内農業は生産者の高齢化、担い手不足に直面しているが、輸出促進などを起爆剤として農業再生を進めることが、国民の食を守ることにつながる。
(terracePRESS編集部)