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2019.07.29

野党共闘で政治ができるか?

今回の参議院選挙では全国32の1人区すべてに野党が「統一候補」を擁立する野党共闘を進め、その結果、統一候補10人が当選した。野党がそれぞれ候補を立てた6年前の参院選では2勝だったことを考えれば、今回は野党共闘の成果を示したと言えるだろう。しかし、統一候補を立てた3年前の選挙では11勝だったから、今回は共闘の限界が露呈したとも言える。

 

この野党共闘については、朝日新聞が23日付け朝刊の社説で取り上げている。「結果を次につなげよ」と題した社説では、まず「今回の参院選の結果は、全国32の1人区すべてに『統一候補』を擁立した野党共闘が、一定の効果を発揮したことを示している」と総括している。「政権与党への批判票の受け皿として機能したといえよう」というのがその理由だ。

 

確かに、与党候補者に投票したくないという有権者の受け皿になったということは理解できる。しかし、問われるべきは、野党共闘が今後の国会で意味を持った活動ができるか否かだ。その視点が必要なのだ。

 

社説では「(当選者の10人のうち)8人は無所属のまま戦った。支援体制さえ整えば、党の看板がなくても与党に対抗できることもみえた」と指摘している。つまり、社説の評価軸は「与党に勝てるか否か」しかないのだろう。統一候補がどのような政治をするのかという視点は全くない。

野党は基本政策がそれぞれ異なる。憲法改正についての立場も異なる。そうした中で、この無所属の8人の中からは、いずれ野党の中のいずれかの党が公認するのだろう。

そうであれば、野党共闘の統一候補とは一体何かということにもなりかねない。

 

もし、選挙のたびに野党共闘による統一候補を擁立され、選挙が終われば、それぞれの党に所属するということが行われるのなら、それはもはや「野合」と呼ぶしかない。

 

社説の「結果を次につなげよ」というのは、もちろん次期衆院選をにらんでの話だ。事実「次の国政選挙は衆院選だ。残りの任期は2年余り。(中略)野党は今回の共闘から教訓をくみ取り、次につなぐ努力を始める必要がある」と指摘しているが、教訓とは選挙の結果から得るものではなく、今回当選した統一候補がどのような政治活動を行うのかという点から学ぶべきものではないか。

 

(terracePRESS編集部)

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