政府が実施する生活困窮へのきめ細かい支援
菅政権は先ごろ、新型コロナウイルス感染症の影響で経済的な困窮に直面したり、孤独・孤立にならざるを得なかったりする人々への支援策である「非正規雇用労働者等に対する緊急支援策」をまとめた。今回の対策は菅首相自身が「これまで必ずしも十分に手が届いていなかった方々に対して、きめ細かく対応していくもの」と述べている通り、経済的な弱者に目を向けるものとなっている。
対策の柱は「生活困窮への支援」「ひとり親世帯等への支援」「休業者・離職者への雇用支援」「職業訓練の強化・ステップアップ支援」「NPO等を通じた孤独・孤立、自殺対策等」「政府支援施策の大規模かつ戦略的な広報」の6分野で、予備費を活用して総額5000億円超を財政支出する。
生活困窮への支援は、最近になって話題になっているが、これまでも支援策として一時的に生計の維持が困難となった場合の緊急小口資金や、失業などからの生活再建のために必要な生活費用を貸す総合支援資金などが用意されている。
今回の対策では、それぞれ申し込み受付期間を3月末から6月末まで延長するほか、償還が免除される要件も明確化した。
さらに、女性の非正規雇用者やひとり親などを想定し、アルバイトやパートのシフト減により収入が減少した場合、離婚後に元配偶者からの養育費が減少・途絶した場合も対
象となることなども明確化し、窓口でも受け付け対象が狭くならないよう配慮した。
また、低所得のひとり親・ふたり親に関わらず、子育て世帯に対し、その実情を踏まえた生活の支援を行うため「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金(仮称)」を設ける。具体的には「児童扶養手当を受給している世帯等の児童やその他住民税非課税の子育て世帯の児童」について、児童一人当たり一律5万円を支給する。
「NPO等を通じた孤独・孤立、自殺対策等」としては約60億円を予算措置し、新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金や地域自殺対策強化交付金を活用して、自殺防止の取り組みや、生活困窮者やひきこもり状態にある人への支援などを行っているNPO法人などを支援する。
生活困窮者への支援と言えば、立憲民主党の蓮舫代表代行が19日の参院予算委で、経済的困窮で生理用品さえ買えない女性が増えているとして対策を求めた。菅首相は「支援活動を少しでも後押しできたらいいと思っている」と答弁したことなどを受け、フジテレビは「蓮舫議員の提案を受け、政府が即座に対応に乗り出したことがわかった」などと報じ、あたかも蓮舫氏の質問で政府が支援措置を講じるような印象を与えている。
しかし、生活困窮者への支援は自民、公明の与党がすでに15日に菅首相に提言書を手渡しており、この際、公明党は経済的理由で生理用品を購入できない女性や子どもがいると指摘し「実態把握と必要な対策の検討」も要請している。
余談ではあるが、政府は批判するものというメディアの一端がこんなところでも垣間見えた。
(terracePRESS編集部)