尖閣諸島の安定目指す日米同盟の強化
日米同盟の強化が進んでいる。海警法を背景に中国公船の尖閣諸島周辺の日本領海への侵入が相次ぐなど緊張感が増している中、日米両国は外務・防衛閣僚の協議を行ったほか、4月の首脳会談で一層の関係強化を図る見通しだ。さらに両国は、尖閣諸島防衛を想定した日米共同訓練を実施することも検討しており、尖閣諸島の安定を図る考えだ。
尖閣諸島は沖縄県石垣市にあり、石垣島の北約170キロ、沖縄本島からは西約410キロに位置し、魚釣島や北小島、南小島、久場島、大正島などからなる島々の総称だ。
日本政府は1895年1月、他国が支配した痕跡がないことを確認した上で、尖閣諸島を日本の領土に編入。第2次大戦後のサンフランシスコ平和条約でも日本の領土として扱われ、沖縄の一部として米国の施政下におかれた。1972年の沖縄返還協定でも、日本に施政権を返還する対象地域にも含まれており、国際法体系の中で一貫して日本領土として扱われている。
その国際秩序を乱しているのが中国で、海警局の船舶が頻繁に日本領海に侵入しているだけでなく、中国国防省は「中国公船は自国領海で法執行活動を行っており、今後も常態化していく」と主張している。尖閣周辺を「自国領海」と位置づけ、日本領海侵入を「法執行活動」と適法性を強調している。
領土や領海は国民の生命財産と同様に、守ることは政府の最大の使命で、菅政権は現在、外交上の最重要課題として取り組んでいる。
その取り組みが結実したのが3月16日に東京で開かれた日米両国の外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)で、この場で日本側は「日本の領土をあらゆる手段で守る」という決意を表明。
それに基づき共同声明では「閣僚はまた、中国海警法等の最近の地域における混乱を招く動きについて深刻な懸念を表明した。さらに、閣僚は、日米安全保障条約第5条の下での尖閣諸島を含む日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントについて議論した。日米は、現状変更を試みる、あるいは、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとする、いかなる一方的な行動にも引き続き反対する」と指摘している。
米国はこれまでも尖閣諸島に日米安保条約第5条が適用されることを表明してきたが、この2+2でも改めて確認した形だ。
こうした日米共通の認識を確固たるものにした上で、さらに両国は尖閣諸島防衛を想定した日米共同訓練を実施する方針だ。岸防衛相もすでに「より実践的で高度な訓練を行いつつ、日米が一つになって動けることを証明していく」との考えを表明している。
このような日米の姿勢に対して、「日中間の緊張を逆に高める」と批判する見方も一部にある。尖閣諸島がある沖縄県の玉城知事などは「国と国とで、平和裏に解決するための方向性をしっかりと探ってほしい」と語ったと伝えられている。
もちろん、国際的な問題は外交努力、話し合いで解決することが原則だ。しかし、バックボーンが何もないままで「話し合い」ができるとの考えは、あまりにも空想論的すぎる。こうした空想的平和主義では、日本の領土、領空ばかりか国民の生命財産を守ることはできない。
(terracePRESS編集部)