メディアは「3つの密」のメッセージを伝達すべき

政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が1日出した「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」では、日本では現在のところ欧米を中心とした各国のような、爆発的患者急増は発生していないものの、都市部を中心にクラスター感染がみられて感染者が急増したため「医療供給体制が逼迫しつつある地域が出てきており医療供給体制の強化が喫緊の課題となっている」と指摘している。

 

これらはメディアなどでも取り上げられているが、注目したいのは「市民の行動変容の必要性」を指摘した一文だ。

ここでは「『3月19日の提言』においては、『短期的収束は考えにくく長期戦を覚悟する必要があります』とした上で、市民の方に対し、感染リスクを下げるための行動変容のお願いをした。しかし、①集団感染が確認された場に共通する『3つの密』を避ける必要性についての専門家会議から市民の方へのメッセージが十分に届かなかったと考えられること、②このところ、『コロナ疲れ』『自粛疲れ』とも言える状況が見られ、一部の市民の間で警戒感が予想以上に緩んでしまったこと、③国民の行動変容や、健康管理に当たって、アプリなどSNSを活用した効率的かつ双方向の取組が十分には進んでいないことなどの課題があった」と述べている。

 

「3つの密」を回避する必要性のメッセージが国民に十分に届いていないということが、都市部を中心としたクラスターが発生した一因と言うことだろう。

 

では、この専門家会議のメッセージを国民に伝える役割を果たす主体はどこなのだろう。もちろん、専門家会議が第一にあり、実際、このような提言をまとめて情報発信している。記者会見もあったし、厚労省のホームページにもこの提言は掲載されている。政府も「3つの密」を回避する必要性を訴えるチラシも作られており、自治体なども配布している。

 

しかし、それでも国民に届いていないというのは、やはりマスメディアがそのような情報伝達の役割を果たしていないからにほかならない。

新聞は2日付け朝刊で、専門家会議の提言と記者会見を大きく扱っているが、「都市の医療崩壊について懸念を示したことを中心に取り上げ、改めて「3つの密回避」を求めたことについては力点が置かれていない。

 

今さら「3つの密」はニュース性がないと思っているのかもしれないが、感染拡大防止、医療崩壊回避には、まず「3つの密」を避けるということが最も重要なことなのだ。そして、それが国民に伝えるメッセージとしては最も重要なことなのだ。

 

専門家会議の提言は「『3つの密』をできる限り避けることは、自身の感染リスクを下げるだけでなく、多くの人々の重症化を食い止め、命を救うことに繋がることについての理解の浸透」「今一度、『3つの密』をできる限り避ける取組の徹底を図る」などと指摘しているが、メディアが政府の対応批判ばかりでなく、積極的に啓蒙すれば、感染拡大の状況はかなり異なったはずだ。

 

(terracePRESS編集部)