安倍政権だからこそできた26兆円の大型経済対策
政府は先ごろ、国や地方からの財政支出が13.2兆円、民間の支出も加えた事業規模が26兆円に達する経済対策を策定した。災害の復旧復興、防災対策や成長分野への投資、景気の下振れリスクへの備えが3本柱で、これにより実質国内総生産(GDP)の押し上げ効果は1.4%と見込まれている。
安倍政権が経済対策を打ち出すのは2016年8月以来3年強ぶりとなった。
日本経済はアベノミクスの成果で、デフレではない状況となっており、GDPは過去最大規模になっている。設備投資は、非製造業のICT投資など将来を見据えた投資が進んでおり、賃金も6年連続で今世紀最高水準の賃上げが実現している。また、地域経済も景況感の地域間のばらつきが小さくなど、厳しいながらも前向きな動きも出ている。
そのような経済環境の中で安倍政権が今回対策を策定したのは「様々な経済の下方リスクを確実に乗り越え、未来の安心を確保していくべく、思い切った財政政策を講ずるべき時」と判断したからだ。
安倍首相は以前から「機動的に対処する」と述べていたが、台風など災害対応の必要性もあり、まさに「機動的に」対応を講じたわけだ。
今回の対策は「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」と名付けられていて、災害対策では「復旧・復興の加速」と「防災、減災、国土強靭化の強力な推進」の2つが柱。台風被災地で、子供の修学・学習などの支援、妊産婦や乳幼児の心身の健康などへの相談支援、高齢者の見守りや日常生活上の相談支援など切れ目のない支援などを加速させる。
また、国土強靭化では、河川の堤防決壊時・洪水時の危険性に関する緊急対策や海岸堤防の高潮に対する緊急対策など各種対策を実施する。
また未来の成長分野への投資としては、「Society 5.0」という新しい時代を実現させ、地球環境問題などを含む社会的課題解決に資するよう先端技術の社会実装・普及を加速させる。東京五輪後の訪日外国人旅行者6,000 万人時代を見据えたインバウンド需要の持続的な取り込みができるような基盤整備も促進する方針だ。
財政支出の内訳をみると、「災害復旧・復興、防災対策」が5.8兆円、「成長分野への投資」が4.3兆円、「景気の下振れ対応」が3.1兆円となっており、3つの柱のバランスがとれた対策となっている。
このうち公共投資には6兆円を投じる。建設国債や予算の剰余金なども使いながら、氾濫発生の危険性が高い河川の川底を掘削したり、堤防を再整備したりするなど国民の安全を確保し、安心に暮らせるような社会を構築するという。
(terracePRESS編集部)