休業の中小企業支援できる臨時交付金
東京都は、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言に基づき、遊興施設や大学、商業施設など6業態・施設に休業を要請、営業自粛に協力した中小企業を対象に1社あたり50万円から100万円を「協力金」として支払うという。
協力金は都が独自に行う施策で、事実、千葉県の森田知事は「都と足並みをそろえるというのは簡単だが、都と千葉県の財政には雲泥の差がある」と述べ、財政上の観点から都が行うような対応が難しいとの考えを示し、国からの支援に期待をにじませた。
緊急事態宣言の対象地域となった他の府県ではなかなか東京都のような対応ができないため、「国が休業補償をすべき」との声も広がっているが、しかし、国が休業した中小企業をサポートしないというのは事実ではない。
そもそも東京都の取り組みも、休業した中小企業への休業補償ではなく、休業要請への「協力金」だ。補償ではない。売り上げの損失という損害などを賄うとなれば莫大な財政が必要となるうえ、不正受給の可能性も否定できない。
海外でも、例えば英国は、イングランドの小売・観光・娯楽業事業者への税の免除や国営英国ビジネス銀行の8割保証による銀行借入の拡充など税や金融措置、また労働者の休業補償はあるが企業への休業補償はない。
だから、東京都も補償ではなく「協力金」という名目で、中小企業をサポートするわけだ。
他の府県が独自に東京都のような取り組みをするのは困難なことは事実だろうが、実は、政府が今回策定した「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」に盛り込まれ、新設される「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用で、都のような「協力金」を支払うことも可能なのだ。
同臨時交付金は、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援するために作られたもので、2020年度補正予算案に1兆円が計上されている。
各自治体への交付限度額は、人口や新型コロナウイルス感染症の感染状況、国庫補助事業の地方負担額などに応じて算定されるが、政府はこの交付金について、休業した中小企業の支援という位置づけで認めるという。
自治体がこの交付金を活用すれば、財政が厳しくとも休業した中小企業への支援ができるというわけだ。
中小企業支援で言えば、政府はまた、資金繰りの悪化が懸念される中小企業に対し、地方銀行や信用金庫など民間金融機関経由でも無利子・無担保融資を実施することを決めたほか、事業継続に向けた給付金も創設する。
こちらは、売り上げが前年比50%以上減少した中堅中小企業は最大200万円、フリーランスを含めた個人事業主は最大100万円補填される見込みだ。
政府の対策について批判ばかりが目に付くが、現実には雇用調整助成金や交付金、給付金などさまざまな支援策が用意されているのだ。
(terracePRESS編集部)