沖縄の真実を争点に

沖縄県知事選は急逝した翁長雄志知事の後継に、自由党幹事長で衆院議員の玉城デニー氏と、前宜野湾市長の佐喜真淳氏との事実上の一騎打ちになる。

玉城氏は米軍普天間基地の移設となる名護市辺野古での飛行場建設の阻止を訴えることになるのだろうが、この辺野古の飛行場建設を阻止するという主張は、政治家としての状況認識がまったく誤っているとしか言えない。

 

一方、佐喜真氏は「普天間飛行場を一日も早く返還し未来を開く、争いや分断ではなく県民が持っている和を未来に託せるようにしたい」と述べているが、これは当然だ。実際に、普天間飛行場の周辺には住宅が密集し、危険な飛行場と言われているのだ。一刻も早くその危険性は除去し、住民の安全を確保すべきなのだが、オール沖縄のようにそこには目をつぶり、移設先の辺野古の建設を認めないとは全く理解に苦しむ。

 

普天間の早期返還は不可欠で最重要課題だが、知事選の争点はそれだけではない。今回の知事選は、沖縄が将来にわたって地域活力を維持できるか否か、その分岐点になるかもしれない。山積している基地以外の問題にどう取り組んでいくかが問われなければならない。

 

では、沖縄がどのような課題を抱えているのか。簡単に理解できるように、都道府県別で比較できる統計の公表資料(統計でみる都道府県のすがた2018)から、沖縄の状況を探ってみよう。

 

まず、経済面では1人当たりの県民所得は約213万円と47都道府県で最下位だ。従業者1~4人の事業所の割合は62.96%と全国で6位。一方、100~299人の事業所の割合は0.65%と全国37位、300人以上は32位にとどまっている。数人で細々とやっている事業所が多く、大きな事業所は少ないのが実態だ。

 

家計に目を転じると、勤労者世帯一カ月の実収入は約43万円でこれも46位と低迷。世帯主収入は約30万円で最下位だ。2人以上世帯の千世帯当たりの所有物をみても、自動車台数が1,513台で35位、電子レンジが1,004台で47位、ルームエアコンは1,963台で40位、タブレットは210台で33位、ピアノ・電子ピアノは229台で46位、スマートフォンは954台で38位、パソコンは850台で47位などと、家計の厳しさが浮き彫りになってくる。

 

一人当たりの国内銀行預金残高も314万円と43位と低迷している。持ち家比率48.0%で46位となる一方、借家比率は49.8%で全国トップだ。また民間生命保険契約件数(人口千人当たり)929.9件、一世帯当たりの民間生命保険金額は1,199.6万円と、いずれも最下位となっている。

 

教育面ではどうか。小学校数(6~11歳人口10万人当たり)は276.2校で38位。同様に中学校は316.4校で28位。高校は125.7校で41位だ。幼稚園は518.5園と全国9位になっているが、保育所は380.2所で34位だ。

 

また、不登校による小学校長期欠席児童比率(児童千人あたり)5.69人で1位。同じく中学の不登校も33.04人と3位で、知事が率先して取り組まなければならない問題も見えてくる。中学校卒業者進学率35.2%で全国45位だ。

 

労働面では、労働力人口(対15歳以上人口)については男が61.6%と45位、女が46.3%で37位。完全失業率は6.3%で1位。当然ながら有効求人倍率は0.76%と全国最下位だ。

労働市場が厳しいため、中高年齢者就職者比率(対求職件数)も26,5%で最下位と、中高年の職場がない。もちろん、中高年だけでなく、若者も厳しい環境に置かれており、高卒者に占める県外就職者の割合は29.8%と11位で、若者が職を求め県外に流出していることが分かる。

 

医療面をみると、一般病院数は人口10万人当たりで、5.7施設で28位となっているが、一般診療所数となると61.9施設で44位。歯科診療所も42.9施設で41位、救急告示病院・一般診療所数は1.8施設で最下位だ。救急自動車数は5.6台で31位、薬局数は41.1所で40位となっており、医療面でも立ち遅れが問題になっている。

 

経済環境が厳しいため生活保護を受けている人も多く、生活保護被保護実人員は人口千人当たり24.98人で、全国5位だ。生活保護被保護高齢者数(65歳以上人口千人当たり)も56.3人で2位となっている。

 

これらが沖縄の真実で、幾つかの統計数字だけを見ても、知事が取り組まなければならない問題が山積していることが分かる。辺野古移転反対だけを縦軸に寄り集まったオール沖縄を母体とする玉城氏に、これらの問題に取り組む意思、手腕があるのだろうか?