政策不在、有権者不在の帰結
立憲民主党と国民民主党の合流は、当初想定されたような形の合流ができずに終わった。基本政策の一致さえも後回しにし、〝合流ありき〟を目指した結果と言える。今回の合流は「選挙目当ての数合わせ」「立憲民主党による国民民主の資金目当て」など様々な批判が出たが、相変わらずの野党の〝政策不在〟〝有権者不在〟であり、ことあるごとに野党から出る「政権奪取」の掛け声がまやかしであることを示している。
今回の合流では、立憲の枝野氏が合流ありきの主導権を握った。「合流後の党名は立憲民主党にする。早く結論を出せ」という形で国民民主側に一方的な結論を求めた。その時点では基本政策のすり合わせすらなく、結論だけを求めたのだ。
その後、立憲の福山幹事長、国民の平野幹事長が党名の決定方法や基本政策のすり合わせを行ったが、11日の国民民主が11日に開いた臨時執行役員会で、立憲との合流について賛否の意見集約ができずに終わった。これを受け、玉木代表が同日の記者会見で合流賛成派と反対派で党を分割する「分党」を行う考えを表明。玉木氏自身は合流に参加しない議員らと新たに「国民民主党」を立ち上げるという。
国民の国会議員は62人いるが、今後は合流に積極的とみられる小沢一郎氏ら合流賛成派と反対派の綱引きが激しくなるとみられるが、立憲内には小沢氏に対する拒否感もあり、今後も波乱は起きそうだ。
ところで、野党はどうして百年一日のような離合集散を繰り返すのだろうか。確かに民主党政権という政権を担う期間もあったが、それも結局は内部崩壊し、また離合集散の歴史を作っている。
立憲民主も国民民主も支持基盤は連合を中心とする労働界だが、それ以外に支持層が広がらないのだ。それもそうだろう。今や安倍政権が産業界に賃上げを要請する時代だ。かつての産業界と労働界の対立を前提とした思考は時代遅れなのだ。しかし、それに固執しているのは政権与党ではなく、立憲や国民などの野党なのだ。
労働界を基盤とするから、それほど現実的な政策に力点を置かなくとも、外野でワーワー言っていれば一定の支持は得られる。その構造の中でどっぷり浸かっているのが野党、特に立憲民主なのだろう。
国民民主は玉木代表が懸命に政策政党であることを打ち出しているが、残念ながらその政策は実効性や実現性に疑問符が付くものも多い。幼保無償化の財源などに使われている消費税の減税などはその代表例だ。
また、政策を提言するのなら、その政策を実現しなければ存在意義は半減する。もし〝玉木新党〟が新しい政党を目指し、政策を実現していくというのなら、与党と連携するという気概を持つべきではないか。それが有権者の支持を得られる道だ。
(terracePRESS編集部)