新型コロナで安倍政権は何を失敗したか
新型コロナウイルス感染症対策をめぐり、政府の対応について国民から不満の声が出ている。政府批判ありきのメディアの報道が影響していることは間違いないところだが、「メディア報道が偏向している」だけでは、国民の不満解消はなかなかできない。安倍政権の新型コロナ対策は間違えたのか、誤りがあったとすればどこにあったのか、考えてみることも必要だ。
読売新聞が先ごろ伝えた全国世論調査によると、安倍内閣の支持率は37%。一カ月前の前回調査の39%から2ポイント低下し、一方、不支持は54%でこちらは前回調査より2ポイント増加している。54%の不支持率は2012年12月の第2次安倍内閣の発足以降で最高となったという。これらの数字は、国民が安倍政権の新型コロナ対策を支持していないことを示していると言わざるを得ない。
では安倍政権の新型コロナ対策はどこが誤りだったのか。新型コロナは現代の日本人が初めて直面した世界的規模の疫病だ。どこの国も手探りでこの疫病に対処しなければならなかった。どのようなプロセスをたどっていくのかさえ不明なため「臨機応変」「機動的」に対処せざるを得なかったわけだ。
もちろん初めての経験はメディアも同様で、前例を引き合いに出したり、照らしたりしながら政府の対応を評価するということはできなかった。
そんなメディアだからこそ、政府が懸命に「臨機応変」「機動的」な対応をしても、「場当たり的」「朝令暮改」というネガティブな評価になってしまう。そのメディアの評価が国民に影響し、その結果、安倍内閣の評価につながっていっているのだろう。
メディアは累計の感染者数ばかりを強調するが、事実だけをみれば、8月12日午前零時現在、国内でり患している人は1万4054人(確認中の243人を除く)で、そのうち重症者は177人。亡くなった人はこれまでで1059人となっている。一人でも亡くなる人が出るのは残念なことだが、死亡者をみれば、日本は他の先進各国より格段に少ないのだ。
また、経済対策でも中小企業や個人事業主などへの資金繰り支援を目的とした「家賃支援給付金」の給付も8月4日から始まっており、「持続化給付金」もすでに約300万件実行している。
日本は他の先進国に比べて極めてうまく対応しているのが現実なのだが、ではなぜ安倍内閣が支持されないのだろうか。
それは結局、国民とのコミュニケーションの失敗だったのではあるまいか。新型コロナウイルス感染症自体のことだけでなく、政府の取り組み、新型コロナとの共存の在り方など国民への情報発信の仕方を決定的に間違え、情報量も不足していたのだ。乏しい情報提供、分かりにくい情報提供では、国民の不満は解消しない。
「新型インフルエンザ等対策有識者会議」に設置された「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の審議事項として「リスクコミュニケーションのあり方」も規定されている。
ウィズコロナ時代の生活の在り方、感染防止と経済活動を両立させることの重要性なども含め、政府はリスク時の情報発信の在り方を今一度、考えるべきだろう。
(terracePRESS編集部)