激戦の大統領選、どうなる日米関係
米大統領選は、予想以上の激戦となった。日本時間の4日深夜になっても勝敗が決まらず、さらに今後、訴訟など予想し難い動きもあり得、確実な勝利者が決まるまで、まだ時間を要する可能性もある。しかし、トランプ氏、バイデン氏いずれが大統領になったとしても日本が影響を受けることは間違いなく、今後、米国の動きを注視する必要がある。
日本の外交戦略の要は日米同盟だ。日本にとって米国以外の選択肢はあり得ず、日米同盟を基軸とした外交を進めなければならない。一方、米国にとっても、アジア太平洋地域における最重要の同盟国は日本以外あり得ず、トランプ氏、バイデン氏のいずれが大統領となっても、日米同盟の深化が日米両国の課題になるだろう。
ただ、バイデン氏の対中外交が、トランプ氏のような強硬なものになるか否かは未だ分からない部分が多い。オバマ政権では対中政策について戦略対話重視アプローチをとっており、オバマ政権で副大統領を8年間務めたバイデン氏がトランプ氏の対中政策を踏襲するとは限らない。
日本が現在進めている「自由で開かれたインド太平洋」戦略は、トランプ政権のアジア太平洋戦略ともなり、日米両国が主導しているが、バイデン氏が大統領になった場合は、この戦略に影が差す可能性もある。
経済面に目を移すと、トランプ氏、バイデン氏とも新型コロナウイルス感染症対策の一環として大型の経済対策の実施を打ち出しており、いずれが大統領になっても、米国経済の回復が促進されることで、日本にとっても対米貿易が促進されることになる。
日米の貿易問題に関しては、安倍政権が日米貿易協定を結んでおり、当面は協議が行われることは避けられることになる。日米貿易協定は、コメは除外し、小麦、牛肉、豚肉、脱脂粉乳、チーズ、リンゴ、オレンジ、砂糖、でん粉、鶏肉などほとんどがTPPと同じ内容となっている。工業製品は基本的に、日本企業の輸出関心が高く貿易量も多い品目を中心に、即時撤廃を含む、早期の関税撤廃、削減を実現しており、日本にとって有利な内容となっており、安倍政権の大きな成果だった。
また、当面の課題として挙げられるのが在日米軍の駐留経費問題だ。この問題に関しては日米両政府の外務・防衛当局の実務者協議がすでに行われているが、大統領選の結果を睨んで協議が本格化する見込みだ。米国は経費の負担増を求めているが、日本がどこまで現状に対しての理解を得るかが課題になる。ただ、日本の来年度政府予算は年末に向けて進むため、来年度については暫定的な合意をするとの見方もでている。
トランプ氏、バイデン氏のいずれが大統領になっても米国は日本にとって重要なパートナーであることは変わらない。米国にとっての日本の存在も同様だ。どのように日米同盟を深化させ、経済の協力関係をより進め、アジア太平洋地域の安定を確保するか。それが日米両国の課題となる。
(terracePRESS編集部)