2年ぶりの特別枠でグリーン、デジタルなど推進
政府は先ごろ、2022年度予算の概算要求基準を決めた。社会保障費の増加や新型コロナウイルス対策費などで、要求総額は8年連続で100兆円を超える見通しだ。今後の成長のエンジンとなる「グリーン」「デジタル」「地方活性化」「子ども・子育て」への予算の重点化を進めていく方針で、今後予算編成作業が本格化する。
2021年度予算は106.6兆円と過去最大となった。新型コロナを受け、概算要求では2020年度当初予算と同額を基本とする異例のルールで実施したため、要求総額は過去最大の105.4兆円となった。
しかし、具体的な金額を示さない事項要求が続出したため、最終的な予算額としては106.6兆円となった。
2022年度の概算要求基準については、従来の基本的な仕組みを引き継ぎながら、「新たな成長推進枠」を設ける。この推進枠などを活用し、骨太方針2021で重点的に資源配分するとされた「グリーン」「デジタル」「地方活性化」「子ども・子育て」への予算の重点化を進めていくという。
具体的には、「年金・医療などの経費」は、33.7兆円だった2021年度予算額に自然増として 6,600 億円を加えた額までの要求を認める。
その上で「裁量的経費」や「義務的経費」は、削減額の一定割合について「新たな成長推進枠」として要望を認める仕組みで、いわゆる特別枠は2年ぶりの復活となる。
義務的経費は、2021年度当初予算の額の範囲内で要求を認めるが、義務的経費を削減した場合は、同額を「新たな成長推進枠」としての裁量的経費で要求することができる。
裁量的経費は2021年度当初予算額を10%削減した範囲内で要求し、その削減額の3倍の範囲内で「新たな成長推進枠」として要求できる。
また、「新たな成長推進枠」で各府省庁は、歳出改革の反映に取り組み、改革の効果に関する定量的試算・エビデンスを明らかにすることが必要となる。
このほか、新型コロナ対策関連では、今後の感染状況をみながら必要に応じた要求も必要となるため、前年度同様に事項のみの要求も認める。
政府は、来年度予算について、新たな成長の原動力となる「グリーン」「デジタル」「地方活性化」「子供・子育て」を実現する投資の促進やその基盤づくりと位置づけている。その上で、足下で 0.5%程度の潜在成長率を引き上げ、民需主導の自律的な経済成長を実現し、GDP が過去最高水準を超えることを目指している。
現状では国内経済は、ワクチン接種の進展や世界経済の回復に伴い、年度後半からの本格的な回復が見込まれている。昨年度の補正予算の繰り越し分や本年度予算を着実に実行することが不可欠だが、本年度から来年度にかけて、民需が回復する一方で政府支出の減少も見込まれる。このため、景気の動向や新型コロナの感染状況を見ながら本年度補正予算を編成し、2022年度予算につなげていくことも必要となる。
(terracePRESS編集部)