国民に届いていない経済対策の進捗状況の中身とは
政府は、「時機を逸することなく、あらゆる手段を総動員して経済を成長軌道に戻すための対策を考える」との菅首相の認識の基、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済の回復を目指す追加経済対策と2020年度予算の第3次補正予算案の編成作業に入った。
感染防止と経済回復を両立させ、国民生活の安定を図りたい考えだ。
安倍政権時の政府は新型コロナの感染拡大以降、2回の緊急対応策と「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を策定、2020年度予算についてもこれまで二度にわたり補正予算を編成してきた。
それにより、国民1人あたりに10万円を支給した特別定額給付金や雇用調整助成金、企業への持続化給付金、家賃支援給付金の創設、企業への融資などさまざまな対策を行ってきた。
中でも2次補正では、約32兆円の真水を投入し、雇用調整助成金の拡充や中小企業の資金繰り支援、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金など医療体制の強化といった対策を盛り込んだ。
3次補正では、これらの対策に続き、感染防止や経済の回復、防災・減災対策などを柱とし、予算執行が息切れしがちな1~3月と2021年度予算をつなげ、切れ目のない15カ月予算とする考えだ。
ところで、これまで実施されてきた各種事業の結果は、ほとんど国民に伝わっていない。
それを整理すると、1人10万円支給の特別定額給付金は給付額ベースで12.66兆円、給付率は99.4%に達している。
低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金は9月末現在で94万世帯に支給が決定されており、支給額は806億円となっている。
雇用調整助成金は、10月30日現在の申込件数が176.8万件で支給決定件数が167.6万件となり、2.0兆円の支給が決定されている。
また、持続化給付金は11月2日現在で388万件の申し込みがあり、支給実績は368万件、4.8兆円となっている。
企業向けの公的機関の実質無利子・無担保融資は11月1日現在で71.8万件の14兆円。同じく民間金融機関の融資は、89万件の15兆円となっている。
医療体制の整備では、医療機関へのサージカルマスクの配布や人工呼吸器の確保などが行われたほか、医療体制の整備などを目的とした緊急包括支援交付金が都道府県に2.3兆円交付されており、20都府県で337の重点医療機関の病床確保支援や、20都県で380の救急・周産期・小児医療機関などの院内感染防止対策の支援、45都道府県で約116万人の医療従事者に慰労金を支給している。
第3次補正の規模は今後決定される見込みだが、これまでの対策、事業と同様に実効性の高い施策を盛り込み、感染防止と経済の回復の両立を図ることが重要だ。
(terracePRESS編集部)