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2020.11.24

Go To見直しが感染拡大防止の有効策になるか

新型コロナウイルス感染症をめぐり政府は、「Go Toトラベル」など「Go To事業」の運用見直しを決めた。「Go Toトラベル」は観光など地域経済を支える観点から必要性を求める声も根強いが、感染の急拡大=「Go To」という専門家の意見や世論に応えた措置となった。しかし、今回の感染急拡大の原因を全面的に「Go To」に求めることは、大きな誤りとなる可能性も否定できない。

 

菅首相は21日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、「新型コロナ分科会からは、医療への負荷を過大にしないためにも、短期間に集中して、感染リスクが高い状況に焦点を絞った対策を行うべきとの御提言をいただいた。この提言を踏まえ、これまでの知見に基づく効果的な対策を、迅速に実行する」と述べ、具体策として「Go To事業」の運用見直しや営業時間の短縮をした飲食店への支援として地方創生臨時交付金の500億円の追加配分などを挙げた。

 

この首相方針の発表を受けメディアは「Go To一時停止、首相表明 感染拡大地域への旅行予約対象 食事券発行停止も」(朝日新聞22日付け朝刊)などと、政府が感染急拡大の元凶であるGo Toを停止するかのように伝えている。

 

現在は「Go To」ばかり槍玉にあげられているが、果たしてそれで正しい選択なのだろうか。「Go Toトラベル」が感染急拡大の元凶であれば、トラベル利用者に感染者が多いはずだが、実際はそうではない。

 

加藤官房長官は18日の記者会見で、7月22日の「Go Toトラベル」事業開始から10月末までの利用者数は延べ3976万人で、11月17日までに感染が確認された利用者は155人で、事業に参加登録した宿泊施設の従業員のうち、同17日までに感染が確認されたのは144人だったと明らかにしている。これをみれば「Go Toトラベル」だけが、感染急拡大の要因とは決して言えない。

 

では、どうして「Go Toトラベル」が槍玉にあげられるのだろう。よくある批判は「『Go Toトラベル』を開始したことが、すなわち国民の気の緩みを招いた」というものだ。しかし、そうだとしたら、仮に「Go Toトラベル」を停止したところで、感染の拡大は止まらない。必要なのは、国民が3密を招かないようにしたり、感染リスクのある5つの場面を回避したりすることの徹底だ。

 

タレントの坂上忍氏が11月12日のフジテレビ系「バイキングMORE」で「『Go To キャンペーン』とかトラベルとかいったら、気を緩めてくれと言っているようなもの」と批判しているが、坂上氏はウィズコロナの時代の生活の仕方を全く理解しておらず、そうした人物が世論に影響を与えているのだ。

 

感染急拡大の要因は「『Go Toトラベル』ではなく国民の気の緩み」ということを前提にするならば、感染拡大防止の正しいアプローチは、「Go To」の見直しではなく、感染防止に向けた国民の認識の再構築となる。

 

(terracePRESS編集部)

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