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2020.11.25

川辺川ダム建設への方針転換を批判する新聞の厚顔

熊本県は7月の豪雨で氾濫した球磨川の治水対策で、蒲島知事と当時の民主党政権が2008年に「白紙撤回」した川辺川ダムについて、新たに環境への影響が貯水型より小さいとされる「流水型」での建設を進めることを決めた。豪雨で多数の死者が出たことを受けての方針転換だ。しかし、メディアはよほどダムが嫌いなのか、この方針転換すら批判している。

 

蒲島知事は19日、県議会で「特定多目的ダム法に基づく現行の貯留型『川辺川ダム計画』の完全な廃止を国に求める。その上で、『緑の流域治水』の1つとして、住民の『命』を守り、さらには、地域の宝である『清流』をも守る『新たな流水型のダム』を、国に求めることを表明する」と宣言した。これを受け20日には赤羽国交相に対し、流水型ダムの建設を要請。国交相も「スピード感を持って検討に入る」と表明した。これによって蒲島知事と民主党が中止を決めた川辺川ダムの建設が事実上、決定したことになる。

 

これに対し日経新聞は「川辺川ダムは総合的検証を」と題した20日付け朝刊の社説で、書き出しから「拙速の印象が拭えない判断である」と批判。「被災の記憶が覚めやらぬうちに長期にわたる対策の是非を判断すると、将来に禍根を残すというのが多くの災害で得た教訓だ。人口減少などを十分に考慮できないためだ。川辺川ダムの是非は総合的に検証したうえで結論を出すべきである」と指摘している。

 

毎日新聞も「川辺川ダム建設容認 方針転換の根拠は十分か」と題した20日付け朝刊の社説で「流水型ダムは『環境に優しい』とされるが、従来の計画規模のままなら流水型としては国内最大規模となる。川辺川の清流に与える影響は不透明だ。こうした疑問点について、住民の懸念に応えるような説明が欠かせない」と強調。

 

朝日新聞は21日付け朝刊の社説「川辺川にダム 多様な対策を怠るな」で「『ダムありき』に陥っては失敗の繰り返しになりかねない。今夏の豪雨災害の検証で国は、ダムが完成していれば浸水面積を6割減らせた地域があると推計しつつ、被害を完全には防げなかったと認めた。ダムも万能ではないと肝に銘ずべきだ」としている。

 

こうした社説を見れば、蒲島知事が掲げた「新たな流水型」のダムに対し、事業費と効果に疑問を呈した日経新聞も、環境維持などに疑問を投げかけた毎日新聞も、人命を守るという視点が欠如していると言わざるを得ない。

朝日新聞にしても「ダムありき」と批判しているが、県議会で蒲島知事が、この12年間に検討した10案について「事業費が莫大であること、工事期間も長期に及ぶことなどから、実施に向けた治水対策として、流域の皆様と共通の認識を得るまでには至らなかった」と説明していることすら無視しているのだ。

 

日経、毎日、そして朝日新聞も12年前にダム建設の収支についてもろ手を挙げて賛成したメディアだ。知事の方針転換をただ批判するだけとは、あまりにも厚顔というほかはない。

(terracePRESS編集部)

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