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2020.11.26

ポストコロナ社会は過疎地と都市との共生が課題

新型コロナウイルスの感染拡大で、人口集中のリスクが再認識され、特に東京一極集中の見直しが求められている。その一方で、地方圏では人口が減り続けている過疎地では、様々な取り組みで地域を維持する人々の姿がみられる。長い道のりかもしれないが、ポストコロナ社会の構築にあたっては、東京一極集中を少しでも是正し、過疎地を含めた地方圏が活性化できるような取り組みが必要だ。

 

過疎地域は全市町村の48%に当たる817市町村で、人口は全国の9%だが、面積は全国の60%を占めている。日本の半分以上が過疎地なのだ。

その過疎地を創意工夫で活性化する事業に光を当てる「過疎地域自立活性化優良事例表彰式」が11月27日に行われるが、表彰されるのはいずれも先進的事例だ。

例えば、新潟県粟島浦村では、島外の児童生徒を受け入れる「粟島しおかぜ留学」を行っており、小規模離島ならではの暮らし体験などで島外からの交流人口の拡大をもたらしている。

また、愛知県豊田市の敷島自治区では、2010 年に住民が自発的に将来ビジョン「しきしま・ときめきプラン」を策定。都市との交流、移住者の受け入れを柱として徹底した空き家活用などで地域の活力を生み出しているという。

これはほんの一例に過ぎないが、過疎地では住民がこうした様々な活動に取り組んでいる。その取り組みがなければ地域の衰退は急速に進展してしまう。

 

そうした住民の活動を支える仕組みの一つが過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)だ。1970年に10年間の時限付き議員立法として制定された過疎法は、期限の延長や内容を変更した新法制定を繰り返してきた。そして実は、この過疎法は2021年3月末に期限切れとなる。

 

期限切れ後の対応などを検討するため、有識者で構成する総務省の「過疎問題懇談会」が4月17日、「新たな過疎対策に向けて~過疎地域の持続的な発展の実現~」と題した報告書をまとめている。

 

報告書は、新型コロナにより「高密度な大都市の経済成長がわが国全体の生活を底上げしてきたことを改めて認識しつつも、その一方で都市への過度の集中は大規模な災害や感染症発生の際のリスクを伴う。都市とは別の価値を持つ低密度な居住空間がしっかりと存在することが国の底力ではないかと、改めて考えざるを得ない」などと指摘し、現行法の期限以降については「引き続き過疎対策を講じていくための制度が必要」としている。

 

ただ、報告書では、過疎地域指定の基準となる人口減少率の判定期間の起算点を見直すことなども指摘しているため、要件に該当しなくなる市町村から異論も出ており、今後、調整が求められている。

しかし、食料や水、エネルギーの供給地、多様な生態系保全、心のふるさとである過疎地域の役割が揺るぎないものであり、日本、そして都市の発展にも重要である過疎地域と都市との共生が今後の課題となる。

 

(terracePRESS編集部)

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