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2022.10.13

農業の再構築進める食料・農業・農村基本法の見直し

政府は、「農政の憲法」ともいわれる食料・農業・農村基本法の見直しの検討に着手した。先ごろ開いた「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」で、岸田首相が改正を指示した。国内農業は脆弱化が進んでいる一方、食料安全保障の強化や海外市場の一層の開拓など新しい農業が求められている。

 

国内農業は現在、足元での脆弱化が進んでいる。1995年に256万人だった基幹的農業従事者は2022年には123万人にまで減少。60代以下をみると205万人、80%から53万人、43%にまで減少している。平均年齢は59.6歳から67.9歳に跳ね上がっている。

 

2015年を100とした国内市場(国内食品支出総額)は2030年に85まで縮小するとみられている。その一方で、生産資材などの価格は上昇を続けている。

 

国内農業は着実に衰退しているのが現実で、国民の食料を供給するための再構築が不可欠となっている。

 

岸田政権はすでに、「新しい資本主義」の下で、①スマート農林水産業等による成長産業化②農林水産物・食品の輸出促進③農林水産業のグリーン化を推進④食料安全保障-を農林水産政策の四本柱として据えている。

 

しかし、こうした施策を推進するためには農政の根幹である食料・農業・農村基本法を今日的な課題に対応できるようにする必要があり、総合的な検証を行い、見直しに向けた検討を開始することが必要と判断した。

 

同法は1999年に制定され、これまで担い手の確保や育成、農地の集約など現在の農政を方向付けてきた。しかし、制定から20年以上が経過した一方で、農業をめぐる内外の環境が変化し続けているため、改定が必要だと判断した。

 

岸田首相は同会議で「社会課題を成長のエンジンに転換し、社会課題を解決しつつ、食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長を推進していくという方針の下、農林水産政策を大きく転換していく。このため、全ての農政の根幹である食料・農業・農村基本法について、制定後約20年間で初めての法改正を見据え、関係閣僚連携の下、総合的な検証を行い、見直しを進める」よう指示した。

 

首相の指示を受け野村農水相は「これからの20年の日本の農業をどうするかという大きな岐路だ」などとして、省内に同法制定以降の農政の検証を行うように指示。約1年かけて改正の方向性を提示する方針だ。

 

国内農業は脆弱化が進んでいるのは事実だが、日本の飲食料の海外市場は増大しているというプラス面もある。海外市場を視野に入れて儲かる農業を実践できれば、新たな就農者も出てくる。

 

国内農業の衰退は、日本人の食の衰退にもつながる。転機を迎えた農業の再構築が急がれている。

 

(terracePRESS編集部)

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