辺野古施設の代替策ない立憲代表選候補者
立憲民主党代表選に立候補した4氏は先ごろ、福岡市で経済政策と安全保障政策をテーマに討論会、共同記者会見などを行った。しかし、ここで明らかになったのは、4氏とも沖縄県の辺野古で建設が進んでいる米軍普天間飛行場の代替施設について「中止する」とは言いながら、その方法として「米国と交渉する」としか述べず、具体策は何ら持ち合わせていないことだった。
代表選には逢坂誠二元首相補佐官、小川淳也元総務政務官、泉健太政調会長、西村智奈美元厚生労働副大臣の4人が立候補している。
討論会では、逢坂氏が辺野古の代替施設などについて「沖縄の問題については民意とかけ離れているので、ここについては立ち止まって再度交渉し直すことが大事だと思っている」と指摘。
西村氏が「辺野古の基地移設の問題については、軟弱地盤であるということは、皆さんがご存じの通りだし、県民投票などを通じて、県民の意思は辺野古ではないということだ。アメリカも民主主義の国。日本の政党が辺野古の基地移設中止という方針を明確に打ち立てて総選挙に勝ったら、それをテコにアメリカと強力に交渉を開始することができると確信している」と述べた。
その一方で、小川氏、泉氏は明示的な言及はなかった。
記者会見では、泉氏が「米国の知日派以外にもルートを作り、やりとりを深めていきたい」、西村氏が「選挙で政権交代できれば、米国とより協力に話し合いができると期待している」、逢坂氏は「沖縄のことは今、民意と、政府、米国がやっていることは真逆の状況だから、これを放置することはできない」などと示しただけだった。
つまり、4氏とも中止に向けた具体策があるわけではなく、「米国と話し合う」ということを言っているにすぎないのだ。
普天間飛行場の移設については2009年7月に当時の民主党の鳩山代表が、移設先について「最低でも県外の方向で積極的に行動したい」と発言。9月に鳩山氏が首相に就くと、辺野古への移設は事実上白紙となった。この後、普天間移設問題は大混乱に陥ったが、その後2010年5月に、その鳩山政権が米国政府と辺野古移設を合意したものだ。
鳩山氏は民主党代表時代から「県外移設」を訴えていたわけだが、結局、何ら具体策を持っておらず、沖縄を混乱させただけで、最終的には辺野古移設を容認したのだ。
今回の代表選に立候補した4氏も結局は「米国と交渉する」「話し合う」と言っているにすぎず、鳩山氏と同様、具体策を持ち合わせているわけではない。ましてや、辺野古施設は住宅街のど真ん中にある普天間飛行場の代替施設であり、「新しい基地」ではない。
何の見通しもないままに辺野古の工事中止を言うのは、鳩山氏と同じだ。辺野古の施設は、辺野古に新たな飛行場を作ることが目的ではなく、普天間飛行場の危険性を除去することが目的だ。その点すら顧みずに、具体策もなく「中止」を訴えるのは、普天間飛行場の周辺住民にツケを回しているのと一緒だ。
(terracePRESS編集部)