2期連続の高い成長示したGDP
政府が先ごろ公表した2020年10~12月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前期より3.0%増、年率換算では12.7%増となった。年率22.7%という記録的な伸びだった前期からは減速したが、2期連続の高い成長を示した。この結果、2020年の通年では前年比4.8%減となったが、マイナス幅は事前の予測を下回った。
IMFは、1月に世界経済見通しを改定し、そこでは日本の2020年の成長率をマイナス5.1%と予測していた。実際はマイナス4.8%成長となり、わずかながらだがマイナス成長幅を抑え込んだ形となった。
10~12月期の内需を項目別にみると、民間需要が2.0%増、公的需要が1.8%増で民需、公需ともにプラス成長となった。ただ、3.0%成長の寄与度をみると民需が1.5ポイント、公需が0.5ポイント、外需が1.0ポイントとなっており、民需主導型の成長だったといえる。
民需は個人消費と民間企業の設備投資が柱となっているが、寄与度をみると個人消費が1.2ポイント、設備投資は0.7ポイントとなっており、民需主導型といっても、個人消費の伸びが成長を支えた形だ。
10~12月期は「Go To トラベル」などの景気刺激策が行われていた時期だ。野党やメディアは新型コロナを拡散させた原因などと単純に批判したが、旅行自体が問題だったわけではないし、それが個人消費をけん引したことは間違いないだろう。
事実、10~12月期の家計調査をみると、勤労者世帯(総世帯)の実収入が前年同期比で実質2.2%増えたことから、総世帯の消費支出(季調済み)が前期比で実質3.1%増加していることに加え、二人以上の世帯の消費の用途別をみると、宿泊料が前年同期比で10.5%増加している。
いずれにしても、10~12月期は経済が低迷する中でも、個人消費が〝堅調〟だったことは間違いないことだろう。
問題は2021年1~3月期の成長で、11都府県に発令された緊急事態宣言の影響で、20年度の景気の二番底となる恐れもある。
菅政権は20年度の予算の第3次補正と21年度予算で切れ目のない経済対策を行う方針だから、今後は速やかな21年度予算案の成立が必要となる。
政府は2021年度の成長見通しを実質で前年比4.0%増と見込んでいる。ただしIMFも日本の成長について「ユーロ圏の 2021 年の成長率予測が下方修正されたことによって部分的に相殺される」との見方を示しており、不透明な部分も残っている。それだけに、新型コロナの感染対策とともに、経済活動の活性化、内需の拡大も必要となっている。
(terracePRESS編集部)