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2021.04.16

農業を変える「農業DX構想」の推進を

菅政権が9月にデジタル庁をスタートさせるなどデジタル化の急速な進展が予測されている。デジタル化は経済社会のさまざまな分野での活用が求められるが、農業も決して無縁ではない。そうした中、生産者の高齢化や担い手不足が課題となっている国内農業を持続的に発展させ、食料の安定的な供給を確保するため、農水省が「農業DX(デジタルトランスフォーメーション)構想」をまとめた。

 

「農業DX構想」は2030年を展望したもので、デジタル技術を活用して効率の高い営農を実行しながら「消費者ニーズをデータで捉え、消費者が価値を実感できる形で農産物・食品を提供していく農業への変革の実現」を目的としている。

 

日本社会でデジタル化が進むとはいっても、行政手続きのオンライン化や、第2次産業、第3次産業での利用がほとんどで、農業分野ではほんの一部で実践されている先端技術だと考えている生産者は少なくない。

しかし、デジタル化は生産現場と消費者の関係を大きく変える可能性をはらんでおり、「農業DX構想」では「消費者ニーズを起点にしながら価値を届けられる農業」を実現すると強調している。

 

その上で ①政府方針に基づく農業DXの推進(デジタル3原則やデジタル社会を形成するための 10の基本原則) ②デジタル技術の活用を前提した発想 ③新たなつながりの形成によるイノベーションの促進 ④消費者・利用者目線の徹底 ⑤コロナ禍による社会の変容への対応 ⑥持続可能な農業の実現によるSDGsの達成への貢献-農業DXの基本的方向を示している。

 

さらに具体策として「生産の現場」や「農水省の行政実務」「現場と農水省を結ぶ基盤整備」などの各分野について、「AI・データ・ドローン等を用いたスマート農業技術の開発」「有機農業見える化」「就農希望者と産地のマッチング」「農山漁村発イノベーション全国展開」「消費者ニーズを起点としたデータバリューチェーン構築」など、DXを進めるプロジェクトを示した。

 

農業の現場ではすでにデジタル化の実証が始まっているが、その取り組みのスピードは決して順調とはいえない。スマート農業の現場実証が全国148地区で進められているが、通信インフラの整備など本格的な社会実装はまだ加速化していく段階。

また、データを活用した農業を行っている農業経営体は全体の2割以下にとどまっているほか、農地情報が個別に管理され、農業者や関係職員に負担が生じているという。

 

「農業DX構想」は、そうした隘路を切り開くものであると同時に、農業・食関連産業の関係者が取り組み全体を俯瞰する〝見取り図〟にもなっている。

 

DXの推進でイノベーションが促進され、生産現場、流通、消費者などに新たなつながりが生まれ、消費者や利用者の目線が徹底して活用できるようになれば、新しい農業が創出でき、若い人にも魅力的な産業となるだろう。それを実現するためにはスピード感をもったDXの推進が重要となる。

 

(terracePRESS編集部)

 

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