「テレワーク」「地方移住」息切れ回避を
内閣府が先ごろ、新型コロナウイルス感染症が生活意識などにどう影響しているかについて4月30日から5月11日にインターネットで調査した「第3回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」の結果を公表した。
この調査によるとテレワークの実施率が過去最高で、地方移住への関心も一層高まっていることが浮き彫りになった。菅政権は一極集中の抑制と地方移住の促進をはかる方針だが、地方移住への関心を息切れさせないことが求められる。
テレワークの実施率をみると、全国平均が30.8%、東京23区に限ってみると53.5%ととなり、いずれも19年12月の調査以降最高になった。
この23区のテレワーク実施者の実施頻度をみると、「ほぼ100%実施」は14.3%、「テレワーク中心(50%以上)で定期的に出勤を併用」が15.8%となっている。「ほぼ100%」は、20年12月調査の12.8%は上回ったものの、20年5月の23.9%からは大幅に減っている。
日本のテレワークは新型コロナの感染対策として〝緊急避難的〟にスタートした側面が強く、働き方改革のためのテレワークということが整理されていない現実もある。このため、コロナの感染状況によって実施率が左右されているのが現実だ。
実施率が全国ベースでも過去最高になったものの、コロナの状況で再び低下する可能性も強い。
地方移住も同様な問題を内包している。東京圏在住者の地方移住への関心を全年齢でみると、「強い関心がある」が4.5%、「関心がある」が9.7%、「やや関心がある」が19.0%で、33.2%が何らかの関心を持っていた。これも19年12月の調査以降、最も多い状況となり、移住への関心が高まっていることを示している。
「地方移住への関心理由」は、「人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じたため」が35.1%、「テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため」が25.4%などとなったが、「感染症と関係ない理由」も22.9%となった。
では、地方移住に関心がある人たちは、どのように実現しようとしているのか。「地方移住に関心がある人のうち、地方移住に向けた行動をとった人の割合」は全体で22.9%となっている。20年12月調査では27.2%だったから、4.3ポイント減少したことになる。
これを年代別にみると、20歳代は20年12月が37.9%だったのが28.4%に、30歳代は32.2%だったのが25.8%と、60歳代以上を除いては軒並み低下している。
テレワークも地方移住も本来、新型コロナに関係なく促進しなければならない課題だ。現在は、コロナによって注目を集めていることは間違いないが、テレワークなら「100%実施」でも、地方移住なら具体的な行動などの減少は、ある意味、息切れといえるようなものだろう。
テレワークも地方移住も、ポストコロナの時代になっても促進すべき課題だ。本来の価値を示すなど息切れを回避し、本格的な定着につなげる必要がある。
(terracePRESS編集部)