安倍外交に正当な評価を
先ごろ公表された2020年版外交青書は、改めて日本政府が「国際協調主義に基づく『積極的平和主義』の立場から、地球儀を俯瞰する外交」を展開していることを述べた。
外交というと、一般国民はなかなか等身大で考えることが難しいが、国際社会の中で日本のプレゼンスをかつてないほど高めた安倍首相の外交実績は正当な評価を受けるべきものだろう。
青書は現在の外交について「安倍総理大臣はこれまで80か国・地域(延べ176か国・地域)を訪問し、茂木外務大臣は、2019年9月の就任以来、12月にG20愛知・名古屋外務大臣会合の議長を務めたのに加え11か国・地域(延べ12か国・地域)を訪問した(2020年2月末時点)。この結果、国際社会における日本の存在感は着実に高まり、安倍総理大臣と各国首脳、茂木外務大臣と各国外相や国際機関の長との個人的な 信頼関係も深まっている」と述べている。
日本外交の重点分野として ①日米同盟の更なる強化 ②北挑戦への対応 ③中国・韓国・ロシアなどの近隣国外交 ④中東情勢 ⑤経済問題など新たな共通ルール ⑥地球規模の課題―などとされているが、まさに安倍外交は、こうした課題解決に向けて動いて来たのだ。
ただ、課題を背負って積極的な外交を行っていても、北方領土や拉致問題などいまだ未解決な問題も残っているのも事実だ。例えば、拉致問題は、北朝鮮による核・ミサイル開発の阻止という国際社会の重要な政治課題に影響されている。そもそも外交は相手のあることで、一朝一夕に結果が出るものではない。
未解決の問題があるからと言って安倍外交の実績が否定されるものではないのだ。
現在、日本の最大の課題はアジアの平和と安定だ。インド太平洋地域は世界の成長センターの一つである一方、中国が現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」や南シナ海での大規模な拠点構築など影響力を急速に拡張している地域だ。
この地域の在り方について、日本は「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンを掲げており、青書は「このビジョンは今や、米国から、オーストラリア、インド、更には ASEAN、欧州まで広がりつつある」と指摘している。
このビジョンを推し進めたのが安倍首相であり、まさにこれからのアジアや太平洋の方向付けをしたわけだ。
「外交は票にならない」などとよく言われる。有権者は日本の外交政策や国際関係にはそれほど関心を示さず、内政問題だけ、場合によれば地元の利害関係などで選挙の投票を決めるという。
この言葉のように、外交が選挙の票になるかならないかは不明だが、少なくとも安倍外交の実績は正しく評価することが必要だ。
(terracePRESS編集部)