進む少子化、対策は日本の重要な課題
新型コロナウイルス感染症や財政再建、社会保障のあり方、憲法改正、それにグリーン社会の構築など日本は多くの課題を抱えている。コロナのように足元で解決しなければならない問題もあるし、中期的な課題もある。しかし、そのような〝分かりやすい〟問題の陰に隠れて、もっと重大な課題もある。それが少子化だ。少子化は着実に進んでおり、一刻も早く対策を立てなければ、日本の国力は衰退していくしかない。
2021年4月1日現在の15歳未満の子どもの数は、前年に比べ19万人少ない1493万人で、1982年から40年連続の減少となり、過去最少となった。男女別では、男子が765万人、女子が728万人で、男子が女子より37万人多く、女子100人に対する男子の数は105.0となっている。
総人口に占める子どもの割合は11.9%で前年より0.1ポイント低下し、過去最低となった。これは1975年から47年連続して低下している。
各国の子どもの割合と比較すると、調査年の違いで正確には比較できないものの、米国が18.6%(推計時点:2018.7.1)、英国が18.1%(同左:18.7.1)フランスが17.7%(同上:21.1.1)などとなっており、日本が最も低い水準となっている。
つまり日本は世界でも最も少子化が進んでいる国ということになる。
少子化とは、将来の労働力が少なくなるということだ。経済成長の3要素は「投資」と「技術革新」と「労働力」だが、その「労働力」が将来にわたって減少するということだ。
その少子化とは出生率の低下なのだが、2019年の合計特殊出生率は1.36。その主な要因は未婚化や晩婚化で、これを改善しない限り出生率の上昇は望めない。
しかし実は、若い世代が結婚しないことを望んでいるかというと、そんなことはない。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、独身者の約9割が結婚に対する希望を持っている。「自由さや気楽さを失いたくない(男性28.5%、女性31.2%)(25~34歳)」という声があるものの、「適当な相手にめぐり会わない(男性45.3%、女性51.2%)(同上)」という状況があることも確かだ。
政府は2020年5月29日に新たな「少子化社会対策大綱」を閣議決定し、基本的な目標として「希望出生率1.8」の実現を掲げている。
そのために「結婚支援」や「妊娠・出産への支援」「仕事と子育ての両立」「地域・社会による子育て支援」「経済的支援」などさまざまな支援策を展開している。
少子化対策の結果は出生率という数字で明確になる。このような支援策の効果は未だ不明だが、もし不足があればさらに強力な支援策が求められることになる。
政府・与党が検討している「こども庁」の全体像はまだ見えていないが、新たな組織の設置を契機に、出生率の向上を進めなければ、外国人労働者の確保を進めない限り、日本が将来にわたって豊かな国であり続けることが難しくなることは確実だ。
(terracePRESS編集部)