もはや〝悲しくなる〟立憲民主党の経済政策
立憲民主党が先ごろ、「#政権を取ってこれをやる」のVol.6として「経済政策」を公表した。政策は減税など5項目。減税は時限的措置で残りは新型コロナ後に「作り上げていく社会の中での経済政策」としている。しかし、そこには明確な成長戦略は示されておらず、経済政策としては噴飯もの。立憲民主党は成長戦略さえ描けないことを示しており、もはや〝悲しくなる〟政党で、哀れみさえ感じる。
政策は「分配なくして成長なし!みんなを幸せにする経済政策」と題している。このタイトルを見れば、立憲民主党がそもそも大きな考え違いをしていることは明白だ。分配すれば成長すると考えているのだ。消費を喚起して、それを起爆剤にして成長を続けようということだろう。
しかし、日本は物が売れなくなって久しい。消費財は豊富にあり、家電などの耐久消費財も、高品質化などでますます寿命が伸び、買い替え需要がかつてにくらべ発生しなくなっている。そういう時代だからこそ、新しい産業やサービスを創出しなければ成長はしない。
その新しい産業やサービスを作るためには規制を緩和し、これまでできなかったことを実現できるようする。それがアベノミクスでの成長戦略であった。
立憲民主党の政策のようにそれを欠いたまま「分配」だけしていけば、日本は縮小していくしかないだろう。なにしろ「#政権を取ってこれをやる」Vol.6には、成長戦略らしきものは「中長期的な研究・開発力の強化」としか書かれていない。日本を成長させるためにどのような分野の研究を進め、開発を進めるのか、それすら示されていないのだ。
それよりも驚かされるのは「時限的な減税と給付金」だ。これは「年収1000万円程度以下の所得税実質免除と低所得者への給付金支給」「時限的な5%の消費税減税」だという。このうち「低所得者への給付金支給」は理解できるが、問題なのは「年収1000万円程度以下の所得税実質免除」「時限的な5%の消費税減税」だ。
まず消費税だが、10%分のうち国分の6.28%は年金、医療、介護、少子化対策の社会保障4経費に充当されている。また地方分の3.72%は、そのうち1.52%が地方交付税、2.2%が地方消費税となっている。
もし国分の6.28%のうち5%を減税するとなれば、社会保障から回すことになる。現在、幼保無償化が行われているが、その財源すら取り崩そうというわけだ。
そもそも「消費税5%の減税」などというが、2020年に政府が実施した1人10万円の特別定額給付金は、規模からいうとちょうど1年間の消費税5%減税に等しいものだったのだ。
そして「年収1000万円程度以下の所得税実質免除」だ。所得税をゼロにして消費を喚起しようというのだろう。財源など一切示さず、ただの言いっぱなしなのはいつものことなのだが、もしこれを時限的に実施して消費が喚起できたとしても、再び本則に戻った際に消費が落ち込むことを想定していないのだろう。短期的にGDPの押し上げ効果があったとしても、その期間が終われば押し下げ効果になってしまうのだ。
これはもはや「政策」などと呼べるものではない。衆院選を目当てにしたただの票欲しさの人気取りでしかないだろう。
(terracePRESS編集部)