感染対策実施しGo Toの早期再開が必要
新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の減少に伴って、政府が観光支援策「Go Toトラベル」の再開に向け検討を進めている。海外の国々も同様だが、国民の多くがワクチン接種したことや、治療薬の利用も期待できるような状況となり、経済活動の再開を模索するという動きが〝ウィズコロナ社会〟を作ることになる。
政府は、「新型コロナウイルス感染症対策本部」で、「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」として、感染対策と日常生活の両立させることを目的に、ワクチン・検査パッケージの実務的な運用や効果を確認するため、飲食、イベント、旅人の移動各分野で必要な技術実証を行うことを決めている。
Go Toトラベルについては、観光庁が現在、12の旅行会社が実施する40のツアー、36都道府県の108カ所の宿泊施設を対象としたワクチン接種証活用の実証実験を進めている。
その一方で、政府が「Go Toトラベル」の補助金の上限を1万3,000円とする方向などで調整しているとされている。これまで最大1人2万円だった補助金の上限を引き下げる方向とのことだが、いずれにしても補助金が決まれば、残るは「再開時期」ということになるだろう。
公明党の山口代表は13日の民放テレビで、再開時期について「感染の収束をしっかり視野に入れないといけない。来年の2月ごろ、つまり暮れや正月のシーズンは避けたほうがよい」と述べている。
「Go Toトラベル」は昨年実施した第1弾で、実施時期と感染の急拡大が重なり、「Go Toトラベル」が感染拡大を招いたと考えられている。当時の菅首相は、Go Toが感染拡大を招いたものではないと説明していたが、社会の「Go To悪玉論」の前には説得力を持たなかった。
確かに、京都大の西浦教授らのグループの研究では、昨年5月から8月にかけて24の県から報告されたコロナ感染者約4000人を分析したところ約20%が、発症前に旅行していたり旅行者と接触したりするなど旅行関連とみられる感染者だったという。
この研究では、今回の分析では「Go Toトラベル」が感染拡大につながったかどうかを決めることはできないものの、少なくとも初期の段階では感染の増加に影響した可能性があるとしている。
一方、名古屋市立大学大学院の平賀准教授らのグループの分析では「得られた結果は直感とは異なり、第1弾Go Toトラベルと感染者数とには統計的な有意な関係が見られなかった」としている。
つまり、昨年の「Go Toトラベル」感染拡大の主要因だったという根拠は現在も示されていない。それは、「Go Toトラベル」を実施していなくても、感染は拡大したのだ。
問題は、感染対策を適切に実施して旅行を楽しむかどうかだろう。それを行うことが「ウィズコロナ社会」なのだ。経済を回しながら新型コロナウイルスと〝付き合いって行く〟社会を早急に構築しなければならない。
(terracePRESS編集部)