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2021.11.18

切れ目のない対策で足元の弱さ克服

内閣府が先ごろ公表した2021年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質の季節調整値で前期比0.8%減、年率換算で3.0%減となった。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令されていた時期に個人消費が落ち込み、2四半期ぶりのマイナス成長となった。政府は大規模な経済対策と補正予算で、来年度予算と合わせ切れ目のない対策を展開する。

 

各需要項目をみると、GDPの半分以上を占める個人消費(民間最終消費支出)は、前期比1.1%減となった。個人消費の寄与度はマイナス0.6となっており、全体のマイナス成長に大きく影響した。緊急事態宣言による外出自粛や飲食店での時短営業による消費抑制や自動車の販売減などが響いたとされるが、1~3月期の1.3%減よりは落ち込み幅は少なかった。

 

内需を支えるもう一つの柱の設備投資は3.8%減、住宅投資は2.6%減。公的需要は0.6%増で、そのうちコロナワクチン接種などの費用が支出されるなどしたため政府最終消費支出が1.1%増となったが、公共投資(公的固定資本形成)が1.5%減となった。

 

雇用者報酬の前期比をみると、4~6月期は0.7%減だったものの7~9月期は0.1%増となった。前年同期比をみると7~9月期は2.4%増となっている。

 

7~9月期のGDPをみれば、日本経済が新型コロナの影響から抜けきれないばかりか、今夏の感染拡大で直撃されたことは明白だ。こうした夏場のコロナ拡大が押し下げたわけだが、日本の景気が基調、方向性としては持ち直していることは間違いないだろう。

 

輸出も需要の急激な拡大に伴う半導体不足などを背景に、弱い動きを見せているが、基調としては増加傾向だし、個人消費もコロナへの警戒感が残る中で、消費意欲の回復が期待できる。

 

政府は新たに策定する経済対策で、新型コロナ対策として、所得制限を付けた上で18歳以下への10万円相当の給付や、住民税非課税世帯の給付などを実施。

また、コロナの影響を受けた事業者支援に向け、「事業復活支援金」として事業収入が半減した法人に事業規模に応じて上限250万円を支給するなど、新たな中小企業対策も実施するという。

 

また分配戦略の実施に向け、賃上げを行う経営体力を確保するために事業再構築や生産性向上に取り組む中小企業に対し、「強力な助成支援を行う」という方針も示すという。

 

その上で、政府は経済対策の財政的裏付けとなる2021年度補正予算について2022年度予算と一体編成、執行する「16カ月予算」とする方針で、切れ目のない経済対策を展開する考えだ。

 

経済対策では10兆円規模の大学ファンド運用開始や半導体や新型コロナワクチン、治療薬などの製造拠点整備など中期的な成長戦略を盛り込んでいる。

 

7~9月期のGDPのように足元の経済には弱さもあるが、それを脱し持続的な成長を実現することが、国民への成果の分配につながる。

 

(terracePRESS編集部)

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