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2021.12.02

36兆円の補正予算で切れ目ない対策

政府は先ごろ、新型コロナウイルス感染症対策、岸田首相が掲げる「成長と分配の好循環」の実現などに向けた追加経済対策を実施するため35兆9895億円の令和3年度の補正予算案を決定した。予算総額は補正予算として過去最大。コロナ対策での家庭、企業支援など岸田政権の決意を示すものとなっている。

 

補正予算は、「経済対策関係経費」として一般会計で31兆5627億円を計上。税収増に伴う地方交付税交付金の追加分などを加えた最終的な予算総額35兆9895億円となる。

 

一般会計の内訳をみると、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止」が18兆6,059億円、「『ウィズコロナ』下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え」が1兆7,687億円、「未来社会を切り拓く『新しい資本主義』の起動」が 8兆2,532億円、「防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保」が2兆9,349億円となっている。

 

今回の補正予算では、注目された18歳以下への10万円相当の給付する「子育て世帯に対する給付」として1兆2,162億円を計上。コロナ予備費使用分を含めると1兆9,473億円となる。

 

補正予算めぐる議論では、この「子育て世帯に対する給付」ばかりが注目されたが、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止」の「生活・暮らしへの支援」では、「住民税非課税世帯に対する給付金」1兆4,323億円、「緊急小口資金等の特例貸付」4,581億円、「新型コロナウイルス生活困窮者自立支援金」937億円、「学生支援緊急給付金」675億円、「雇用調整助成金の特例措置等」6,547億円などの支援策が盛り込まれている。

 

また、「事業者への支援」として「事業復活支援金」2兆8,032億円、「資金繰り支援」1,403億円、既定経費の活用を含めると3兆245億円、「時短要請等に応じた飲食店等への協力金等(地方創生臨時交付金)」6兆4,769億円などを計上している。

 

「Ⅲ. 未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動」では、「成長と分配の好循環」を実現するために重要な成長戦略となるが、中でも、「地方を活性化し、世界とつながる『デジタル田園都市国家構想』」を進めるため、「地方のデジタルインフラ整備」に571億円、「デジタル田園都市国家構想関連地方創生交付金(仮称)」として660億円、「中小企業等事業再構築促進事業」に6,123億円、「中小企業生産性革命推進事業」に2,001億円、「農林水産業の輸出力強化、成長力強化」に3,200億円などが計上されている。

また「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開に向けて、今後の感染収束を前提に、観光支援策「Go Toトラベル」の再開に2,685億円を追加で確保している。

 

以上のように、今回の補正予算案は、新型コロナは新規陽性者が急激に減少し、落ち着きを見せているが、それでもコロナ対策としての医療提供体制の確保から、事業者や家庭支援、成長戦略と分配戦略、国土強靱化など現在求められる課題への総合的な対策となっている。岸田政権は、補正予算案を令和4年度予算案と一体で編成する「16カ月予算」と位置づけており、成立後、速やかな執行を図り、令和4年度予算の執行につなげる方針だ。

(terracePRESS編集部)

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