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CATEGORY政治

2021.12.03

「支配勢力を追い詰めた」と分析する共産党の独善性

共産党は現状認識ができない政党だ。志位委員長は先ごろ開いた中央委員会総会の幹部会報告で、10月の衆院選挙について野党共闘で自公政権を「攻め込み、追い詰めた」と分析してみせたが、有権者が野党共闘だけでなく、立憲民主党との限定的な閣外協力合意という野合に距離を置いたという現実は見えていないようだ。まさしく唯我独尊の政党なのだろう。

 

幹部会報告で志位委員長は、野党4党が「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」、いわゆる市民連合と合意した20項目の共通政策と、立憲民主党との閣外協力合意について「日本共産党が協力して実行する政権が生まれたら、これまでの政治を根本から変える巨大な一歩となり、支配体制を土台から揺るがすことになる。今回の総選挙は、野党共闘の力、日本共産党の奮闘によって、ここまで支配勢力に攻め込み、追い詰めた選挙となった」と断言している。

 

日本広しといえども、今回の衆院選で国民が立憲民主党や共産党が奮闘して、自公政権を追い詰めたと分析するのは共産党だけだろう。

 

その上で志位委員長は「支配勢力の激しい攻撃にもかかわらず、市民と野党の共闘は、重要な成果をかちとったことを、まず強調したいと思う」と述べているが、その多くの「市民」が自民党に投票したことは明らかだ。そのため、自民党が絶対安定多数を獲得したのだ。

 

つまり、共産党には「市民」が見えていないのだ。確かに、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は「市民」を名乗っているが、安保法制を廃止することを目指している〝市民〟なのだ。その〝市民〟との政策合意を媒介にした野党共闘が、自公政権を追い詰めたと分析しているのが、共産党なのだ。

 

もちろん、共産党の敗北は隠すにも隠せるものではなく、その点は志位委員長も、例えば「比例代表選挙で後退したことは、たいへんに悔しく残念な結果だった」と認めており、その要因として「支配勢力が行った必死の共闘攻撃、日本共産党攻撃に対して、それを上回る必死さで反撃するという点で、弱点があった」などと主張している。

 

野党共闘も閣外協力も間違いではなく、支配勢力が共産党を攻撃したから、選挙に負けたというわけだ。そこには自分たちの政策が有権者に受け入れられないという現実は存在していない。

 

そして驚くべきことに志位氏は「マルクスは、かつてフランスにおける階級闘争の歴史を論じた論文のなかで、革命は『結束した強力な反革命』を生みだすことにより、それとたたかうことによって、自分のほんとうの成長をかちとりながら、前進の道をきりひらくということを指摘したことがある。わが国における今日の国政をめぐる進歩と反動の闘争の弁証法は、マルクスの170年前のこの指摘と共通する特徴をもっている」などと論じたのだ。

 

自公政権が国民に受け入れられたことを、マルクスの論文を引用しながら「結束した反革命」を生み出すことになぞらえているのだ。それが正しいのか否かは知らないが、間違いないことは、こうした思考の共産党はかつて世界に多く存在した独善的体質の共産党と何も変わらないということだろう。

 

(terracePRESS編集部)

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