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参院選目当てでねじれる共産党

共産党が、参院選での野党共闘を優先させるため、統一地方選で国政レベルの野党を批判しないという方針を打ち出した。国政レベルでの野党は、多くの地方自治体では自民、公明とともに与党となっている場合が多く、野党は共産党だけというところも少なくない。

だからといって統一地方選で国政野党について批判すれば、参院選での野党共闘にひびが入ってしまう、というわけだ。

参院選目当てだけで統一地方選での戦い方を変えることに、政党としての存在感が問われるばかりか、有権者からも批判が出そうだ。

 

志位委員長は、先ごろ開いた全国都道府県・地区委員長会議で、統一地方選に関して「自民、公明党と同列に置いて国政野党を批判したら、共闘を真剣に追及するわが党の立場が誤解されかねない」などと発言した。

 

志位委員長は記者会見でこの発言の真意を問われ「今、地方政治は7割ぐらいの自治体で共産党を除くオール与党体制だ。自民、公明だけでなく国政野党も与党になっている」と指摘。

 

その上で志位氏は「共産党は国政においては野党共闘を追求している。一緒くたにして国政野党を批判するということをやると、共闘を追求している私たちの立場が誤解されることにもなりかねない。そういうやり方は抑えることが必要だ。ではどう訴えるかということだが、国政でも地方政治でも自民、公明の政治と正面から対決しているのは日本共産党ですと。これは事実だから」などと説明した。

 

地方選では本来、戦うべき相手の国政野党の批判を抑え、少しでも参院選の共闘にマイナスにならないように配慮するというわけだ。しかし、これでは参院選目当ての統一地方選戦略と批判されても仕方ないだろう。あまりにも地方選をないがしろにしていると言うほかはない。

 

事実、志位氏もこの方針の後ろめたさがあるのか、会見で「ただし、オール与党の実態について情報提供のような、適切な形で有権者に知らせるということは政党の責任としてやっていくことは当然だ。それと攻撃された場合は反論するということは当然だと確認している」と、「情報提供」という謎の言葉を用いて言い訳めいた発言もしている。

 

地方選は、本来批判すべき国政野党を批判せず、参院選での野党共闘を追求する。まさに参院選目当てだけの共産党の選挙戦略は、1票をどう行使するか真剣に考えている一般有権者だけでなく、地方で活動している共産党員にも受け入れがたいものとなるだろう。

 

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