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改憲に必要な国民の現状認識の共有

自民党が憲法改正を実現するため、憲法集会を全国展開する運動を始動させるという。憲法改正は国民投票法が改正され、本格的な議論が待たれている。それには国民の理解が不可欠。憲法は施行から75年にもなるがその間一度も見直されず、一方で日本を取り巻く内外の環境は激変している。憲法改正には社会が大きく変わっているという認識を国民が共有することが不可欠だ。

 

自民党が進める全国運動は、すべての党所属国会議員が地元で憲法改正についての集会を開催するものだ。新型コロナウイルス感染症の動向もあるが、2月中からスタートさせたい考えで、今後は改憲運動を議員や都道府県連任せにするのではなく、ブロック責任者を通して党主導で徹底させるという。

 

自民党はこれまで①「自衛隊」の明記と「自衛の措置」の言及②国会や内閣の緊急事態への対応強化③参議院の合区解消、各都道府県から必ず1人以上選出④教育環境の充実-の4点を「改正案」としてまとめている。

 

一方、憲法改正の手続きを定める改正国民投票法は昨年6月に成立しており、国会で本格的な改正議論が待たれる状況となっている。

 

しかし、ここで欠けているのが国民の理解だろう。立憲民主党の泉代表は、昨年12月2日の執行部発足の会見で、憲法改正について「やはり国民的要請がある、本当に国民からの強い願いがあるのであれば当然論点として論じていくが、憲法改正そのものが目的化しているような憲法改正は論じるに値しない」などと述べている。

 

確かに、憲法改正問題を国民一人一人が〝自分事化〟することは難しいだろう。しかし、新型コロナという未曾有の感染症に見舞われ、緊急事態宣言が発出される事態になった。自民党が改正案を策定した当時はまだコロナ禍ではなく、緊急事態条項はあくまでも大災害を念頭においたものだったが、新型コロナでも同様な事態になることがあり得る。

 

国民民主党の玉木雄一郎代表は、昨年12月の憲法審査会で「感染爆発の真っただ中で(衆院議員の)任期満了を迎えていた場合、現行憲法下では総選挙を実施せざるを得ない。緊急時に任期の特例を定める議論は速やかに行う必要がある」と述べている。

 

東日本大震災を経験した人々はもちろんだが、コロナが蔓延した社会で生きている現世代だからこそ、緊急事態への対処の必要性があることを理解できる。それを自分事化してもらうことが、憲法改正議論につながるのだろう。

 

「自衛隊明記」もそうだ。現在は憲法制定当時と比べて日本を取り巻く安全保障環境はまったく異なっている。経済大国となった中国はアジア地域で軍事的な拡張をしており、尖閣諸島の領海侵犯もたびたび発生している。その一方で、米国のプレゼンスは低下し、米国一国で平和を確保することが難しくなっている。このため、日本の安全保障や国際的な協力への参加など自衛隊の役割がますます重要になっている。

 

憲法改正は、その必要性を声高に叫ぶのではなく、日本を取り巻く環境の現状をまず国民に知ってもらい、〝自分事化〟することから始まる。それが改正実現の近道になるだろう。

 

(terracePRESS編集部)

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