「不信任に値する内閣」と主張する立憲の稚拙
立憲民主党が内閣不信任決議案を提出する方針だという。国民の半数以上が支持する内閣を一ケタの支持率しか獲得できない立憲が〝ダメだし〟するというのだから、その姿勢はもはや喜劇の主人公というしかない。政策政党と言いながらも、結局は選挙目当てのパフォーマンスに走るのだろう。
立憲の泉代表は4日、遊説先の仙台市内で記者団の取材に応じ「公共料金の値上がり、食料品を中心とした値上がりは、すぐ家計に響いていると実感する。これに対して早く手を打たなければいけない。(参院選挙で勝利して)黄金の3年間を作って、権力中心の政治を継続させてはいけない。生活者目線の政治を早く取り戻さなければいけないとの思いを強くしている」と政権批判を展開している。
新型コロナウイルス感染症がまん延していた際は、政府のコロナ対策を散々批判したが、新型コロナの抑制傾向が鮮明になると、今度は物価高対策批判だ。
しかし、現在の物価高は世界的なコロナウイルス感染症の抑制解除による経済活動の活性化とウクライナ情勢によるものだ。岸田政権の政策の失敗ではない。
確かに物価は上がったが、今春闘では賃上げも好調で、連合の調査では平均賃金方式で回答を引き出した4,331組合の「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で6,049円、2.09%増だ。このうち300人未満の中小組合3,078組合は4,857円、1.97%増となっている。
立憲民主党は、この春闘の前に「人への投資」を掲げる岸田首相が経済団体に賃上げを要請したことなど一切無視だ。
泉代表は記者団から内閣不信任案について問われると「これまでの補正予算の審議、そして集中審議を通じて岸田政権が物価高に対策を打っていないことが明らかになった。これを継続して、国民生活が今後の物価高に耐えられるのかという局面にまで来ていると思う。われわれとしては、今の政権は信任に値しないと言わざるを得ない。そういった考えを軸に最終的な対応を決めていきたい」と述べている。
新型コロナの際は、あたかも政府が手をこまねいて破滅的な感染が発生するかのような主張をし、今回の物価高では国民生活が耐えられないような状況にまで来ているという。これこそ〝オオカミ少年〟というものだろう。
読売新聞の5月の世論調査では、内閣支持率が63%で、4月の前回調査より4ポイントのアップ。その内閣に対して不信任決議案を提出するという立憲民主党の政党支持率は、わずか4%。それも前回調査より1ポイントのダウンだ。
立憲がダメ出しする内閣は国民の過半数が支持し、そのダメ出しをする立憲自体はわずかな支持しか得ていない。
少しでも参院選を有利に運ぶために不信任案を提出するのだろうが、これでは旧来の批判だけの野党と何ら変わりはない。その稚拙さをみれば、立憲民主党は健全な野党とは言えない。
(terracePRESS編集部)