立憲民主党はなぜ理解力がないのか
参院選は投票日に向け論争が激しくなっている。それにしても共産党の〝唯我独尊〟ぶりはもはや仕方のないレベルだが、立憲民主党も相変わらずのトンチンカンぶりが目立っている。事実関係すら無視して一方的な批判を繰り返す野党は、もはや国民が受け入れることのできる政党ではないのだろう。
立憲民主党のお粗末な主張の1つが消費税の5%減税だ。消費税減税をめぐっては、自民党の茂木幹事長が「消費税下げたら年金3割カット」など発言したと批判されたが、問題なのは「3割カット」発言ではなく、立憲民主党が消費税5%減税する際の代替財源を明確化していなことだ。
茂木氏はテレビ番組で「消費税だが、これは年金・介護・医療そして子育てシェア、社会保障の大切な財源。野党がいうように下げるとなると、年金財源は3割カットしなくてはならなくなる」と述べているが、これは当然の発言なのだ。
代替財源がないまま消費税減税をするのであれば、現在、消費税収を充当している事業をカットすることとなる。野党の主張はまさにこれなのだ。国民の受けがいい減税だけを主張して、増税や国債の増発については口をつぐむ。それが立憲民主党の薄っぺらな政策提案型政党の真実だ。
また立憲の泉代表は地方での遊説で、防衛費の増額について「防衛費を中身を示すことなく倍にするなんて愚策中の愚策」と政府・自民党を批判した。
しかし、自民党の公約は「NATO 諸国の国防予算の対 GDP 比目標(2%以上)も念頭に、真に必要な防衛関係費を積み上げ、来年度から5年以内に、防衛力の抜本的強化に必要な予算水準の達成を目指す」というものだ。
また政府は、本年末までに新たな国家安全保障戦略などを策定し、そのプロセスの中で、防衛力を5年以内に抜本的に強化できるような防衛費を策定していくという姿勢だ。そこではGDP比2%が決まった事実はまったくなく、それを「防衛費を中身を示すことなく倍にするなんて愚策中の愚策」と理解する泉代表は、暗愚中の暗愚ということなのだろう。
泉代表は別の地方遊説で「本当に今の岸田・黒田体制は庶民泣かせ」だと声を張り上げ、経済政策と低金利を継続している金融政策を批判している。
日銀が低金利政策を継続するから日米の金利差が拡大し、それに伴って円安が進行。そのために輸入物価が上がってると非難しているのだろう。
しかし、物価の上昇はもちろん為替の影響もあるが、ロシアのウクライナ侵略などの要因が大きいのが実状だ。そもそも日本が低金利を継続しているのは日本がまだ自律的な経済拡大に至っていないためで、泉代表はもし金利を上げたら中小企業などを直撃してしまうことを理解できないようだ。
政府や自民党への批判票を取り込みたいという意識は分からなくもないが、それにしても立憲民主党からは知性が感じられない。
(terracePRESS編集部)