沖縄知事選で重要な視点は経済再生
任期満了に伴う沖縄県知事選(9月11日に投開票)が25日告示され、現職と新人2人の三つどもえの選挙戦がスタートした。メディアなどは知事選で米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設が争点と位置づけているが、真に重要なのは沖縄経済の再生だろう。沖縄県民が豊かな暮らしができるよう、地域経済の活性化が3氏には問われている。
立候補したのは、無所属新人で前衆院議員の下地幹郎氏、無所属の新人で自民党と公明党が推薦する前宜野湾市長の佐喜真淳氏、無所属の現職で立憲民主党や共産党など「オール沖縄」が推す玉城デニー氏の3氏。
普天間飛行場の辺野古への移設については新人2人が容認、玉城氏が反対を主張している。
この辺野古への移設は、普天間飛行場の周辺住民の安全を確保するため同飛行場の一刻も早い全面返還が必要となっている。全面返還を実現することは誰にも異論はないところだ。
しかし、一口に「返還」と言っても、3氏の立場は微妙に異なる。下地氏は、辺野古の既に埋め立てた部分を活用した上で、返還を実現した普天間飛行場の活用について「国際空港をつくる」と跡地利用について言及。佐喜真氏は、「普天間飛行場を2030年までに返還」と返還を実現する期限を明確にしている。
これに対して玉城氏は、「辺野古に新しい基地をつくらせない。普天間基地の1日も早い危険性の除去と閉鎖返還を必ず実現させる」と主張、辺野古移設反対の方を重視している。
一方、松野官房長官は25日の記者会見で「辺野古移設が唯一の解決策。着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現」と述べている。
跡地利用の方策は今後、さらに検討することになるだろうが、経済の脆弱化に直面している沖縄県にとっては、普天間飛行場の跡地利用は経済活性化の起爆剤になることは間違いない。
2023年度予算の概算要求では、沖縄振興予算は2798億円と、本年度に比べ200億円の減額となっている。
新型コロナウイルス感染症対策で政府はこれまで国債を増発し、さまざまな対策を実施している。ポストコロナの時代になれば、これまでのような予算編成も困難になり、沖縄振興予算についても厳しい状況が続くかもしれない。
だからこそ、沖縄県は現在、政府の予算に依存しない自立した地域経済を構築することが求められる。
普天間飛行場の辺野古移設は、米軍のキャンプシュワブ沖に規模も縮小して作られるものだ。その建設に反対するだけでは、普天間返還も進まない。そしてそれは沖縄県経済の起爆剤も手にできなくなるということだ。
知事選では沖縄の住民が豊かな暮らしができるように候補者は何をするのか、有権者にはその視点が求められる。
(terracePRESS編集部)