物価上昇は抑制。景気の活性化が課題
物価の上昇が続いている。しかし、政府は地方自治体などとともに物価対策を進めており、日本の物価上昇は他の先進国と比べて抑制されている。賃金も春闘やボーナスなど順調に上昇しているなかで、景気の活性化、中でも個人消費をどう拡大させるかが課題となっている。
総務省が先ごろ公表した7月の全国消費者物価指数によると、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が102.2で前年同月比2.4%の上昇となった。
2%を超えて上昇したのは4カ月連続で、物価高の基調が依然として続いている。
物価が上昇しているのはウクライナ情勢などを契機とした原料高に加え、円安の影響もある。消費者物価押し上げで目立っているのが食料品で、伸び率は全体で4.4%となり、約8年ぶりの高さとなっている。
12.6%上昇の食パン、食用油は40.3%の上昇など幅広い品目で値上がりが行われている。
今回の物価上昇は原材料価格の高騰と円安が要因だが、政府によると、このうち円安の影響は7月の時点で5割程度と推定されている。その円安は先進各国の利上げによって起こったわけで、日本だけにみられる要因だが、その中で日本の物価が2.4%の上昇にとどまっているのは物価抑制対策の効果が出ているからだろう。
その物価抑制対策に加え、生活者支援も行われている。
例えば、新型コロナ対策の中には「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」があるが、この中には「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を活用する事業を自治体などが策定している。
内閣府によると、事業を提出した地方自治体は都道府県47団体、市区町村1713団体の計1760団体。交付申請額でみれば合計で約6778億円に達している。
例えば生活者支援では「生活困窮者支援」や「子育て世帯支援」「電気料金等公共料金の負担軽減」「学校給食等負担軽減」「生活者支援や消費喚起を目的とした支援」などさまざまな取り組みが全国の自治体で行われている。
事業者支援でも「中小企業支援(省エネ対策、生産性向上、公共料金補助等)」や「農林漁業者支援」「地域公共交通の維持」「観光業支援」などの取り組みが行われている。
こうした中で政府は15日に「物価・賃金・生活総合対策本部」を開催し、岸田首相が①輸入小麦の価格据え置きなど食料品の価格上昇対策②エネルギー価格対策③地方創生臨時交付金の1兆円の増額、を指示している。
その上で首相は「9月上旬を目途に、この本部で追加策を取りまとめる。新たな財源措置を伴うものについては、コロナ・物価予備費を機動的に活用し、国民の皆さんに迅速に届ける。その上で、経済は生き物、状況に応じて、前例に捉われることなく、切れ目なく大胆な対策を講ずる」と発言している。
(terracePRESS編集部)