精力的な首脳外交進めた岸田首相
安倍元首相の国葬では218の国・地域から約700人の外国要人が参列した。岸田首相や林外相は首脳会談、外相会談などを精力的に行った。まさに安倍元首相が実践した「地球儀を俯瞰する外交」の遺産を受け継ぐ形で、世界やアジアの平和と安定に寄与する形となった。
読売新聞は28日付け朝刊で、国葬に参列した米国のリチャード・アミテージ元国務長官のインタビューを掲載している。そこではアミテージ氏は国葬について「日本の人々に、どれだけ多くの国が、素晴らしい代表団を送ったのかを見てもらいたい」と語っている。
さらに「(米国の)トランプ(前)政権は民主的価値観を擁護するリーダー役を務めることに関心がなかった。その時、安倍氏が自由世界のリーダーとして立ち上がった」と、安倍氏の国際社会に対する功績を強調している。
そうした安倍氏の国葬だったからこそ218の国・地域から参列したわけだが、岸田首相との首脳会談としては、ガボン、タンザニア、ベトナム、EU、パプアニューギニア、シンガポール、ヨルダン、オーストラリア、インド各国と行われ、外相会談もオランダ、英国、ノルウェー、フィンランドなど各国と行われている。
米国は国葬にカマラ・ハリス副大統領を筆頭に駐日米国大使、通商代表、国家安全保障担当副大統領補佐官、駐豪米国大使などのほか、アミテージ氏やマイケル・マレン元統合参謀本部議長などからなる代表団が来日。
ハリス副大統領らとの会談では、ロシアによるウクライナ侵略、中国、北朝鮮などの地域情勢について意見交換をし、その上で、インド太平洋地域で力による一方的な現状変更の試みを阻止するため、日米同盟の抑止力・対処力の強化やインド太平洋地域に対する持続的な関与、中間的な立場の国々への働きかけなど緊密に連携していくことで一致した。
また、シャルル・ミシェル欧州理事会議長と行った日EU首脳会談では、ウクライナ情勢への対応としてG7の結束を維持することが極めて重要であることで一致し、日本が議長を務める来年のG7でも、各国と連携して強力な対露制裁を維持し、ウクライナを支援していくことを確認している。
林外相も各国外相と会談を重ね、日英外相会談では林外相が「インド太平洋への『傾斜』を掲げる英国との関係はかつてないほど緊密であり、『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けた協力を推進したい」と述べている。
さらに日フィンランド外相会談では、林外相は「欧州の安全保障環境が激変する中で、フィンランドが伝統的な政策を見直し、NATO加盟申請という歴史的決断を行ったことを支持するとともに、フィンランドの努力に敬意を表する」などと語っている。
首脳、外相、いずれの会談でも、世界のどこであっても力による一方的な現状変更は認められないことを確認しており、安倍氏の「地球儀を俯瞰する外交」を引き継ぎながら、法や秩序の維持に向けた日本の外交が一段と進んだといえる。
(terracePRESS編集部)