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2020.11.17

日米安保5条適用の意味

尖閣諸島をめぐる米国による日米安全保障条約5条の適用が注目されている。米国は以前から適用することを明言していたが、ここにきて米大統領選で勝利を確定したとされる民主党のバイデン前副大統領なども適用を確認した。もちろん、そこには日本政府の外交戦略もあるのだろうが、重要なことは、傍観していても尖閣諸島の安全保障が保たれる状況ではなくなっていることを国民が理解することだろう。

 

バイデン氏の発言は、11月12日に行われた菅首相との電話会談でのことだ。その会談でバイデン氏は、日米同盟を強化する重要性を確認したうえで、尖閣諸島への日米安全保障条約5条の適用を明言したとされている。

 

また、14日に行われた岸防衛相とミラー米国防長官代行の電話会談では、岸氏が東・南シナ海で軍事的影響力を拡大する中国への懸念を示した後、両者が尖閣諸島への日米安全保障条約第5条適用に言及したという。

 

もちろん、尖閣諸島はこれまでも中国による現状変更の挑戦にさらされてきた。今年5月に刊行された「外交青書」では、「東シナ海では、尖閣諸島周辺海域における中国公船による領海侵入事案が続いており、中国軍もその海空域での活動を質・量共に急速に拡大・活発化させている。また、中国は、排他的経済水域及び大陸棚の境界が未画定の海域で、一方的な資源開発を継続している。さらに、近年、東シナ海を始めとする日本周辺海域で、中国による日本の同意を得ない調査活動や同意内容と異なる調査活動も多数確認されている」と指摘している。

 

また、8月に刊行された「防衛白書」では、「中国軍指導部がわが国固有の領土である尖閣諸島に対する『闘争』の実施、『東シナ海防空識別区』の設定や、海・空軍による『常態的な巡航』などを軍の活動の成果として誇示し、今後とも軍の作戦遂行能力の向上に努める旨強調していることや、近年実際に中国軍が東シナ海や太平洋、日本海といったわが国周辺などでの活動を急速に拡大・活発化させてきたことを踏まえれば、これまでの活動の定例化を企図しているのみならず質・量ともにさらなる活動の拡大・活発化を推進する可能性が高い」との懸念を示している。

 

このように中国の軍事的な動向、現状を変更しようという試みが活発化してきているのは明白で、それが日本の領海を侵すという事態を引き起こしているのだ。

 

たびたび日本の領海を侵犯している中国海警局の船舶だが、その海警局は2018年に非軍事組織である国家海洋局の指揮系統を外れ、軍事組織の中央軍事委員会の指揮下にある武警部隊に編入されている。さらに今年11月4日には、中国が管轄する海域で違法に活動する外国船が停船命令に従わない場合などに武器の使用を認める海警法草案を公表している。

 

こうした現状の変更を試みる中国側の動きを抑止するのが日米安保条約で、日本独自の努力は当然だが、米国の協力により抑止力の実効性を高めることが必要だ。そのためにも、国民が尖閣諸島をめぐる動きについて正しい認識を持つことが重要になる。

 

(terracePRESS編集部)

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