依然として好調な大卒の就職率
大卒や高卒で就職を希望した人の4月1日時点の就職率は大卒で97.6%、高卒で98.2%となった。堅調な日本経済、人手不足などを反映した結果、100%近いといういずれも高い就職率といえる。各国別の就職率のまとまったデータは公表されていない上、就職の形態も各国で異なるため一概に比較はできないが、100%近い就職率は世界でトップクラスであることは間違いなく、日本の経済社会が安定している証拠ともいえる。
大卒の就職率は、昨年と比べると0.4ポイントの減少となったが、統計を始めた1997年春卒以降、2番目となる高水準を維持した。このうち国公立大学の就職率は97.3%、私立大学は97.7%だった。短期大学の就職率は98.6%で、高等専門学校と専修学校(専門課程)の就職率は、それぞれ99.6%、96.6%だった。
大学、短期大学、高等専門学校を合わせた「大学等」の就職率は97.8%で、専修学校(専門課程)を含めると97.7%という高水準を維持している。
男女別でみると、男子大学生の就職率は97.3%で、女子は97.8%。大学の文系・理系別では、文系が97.4%、理系が98.4%となり、男女別、文系・理系別にみても高い就職率を実現している。
ただ、大学の就職率を地域別にみると、最も高い関東地区が98.1%で、九州地区を除く他地域も97~98%となった。九州地区は昨年より2.3ポイント低下の95.2%だった。
一方、就職を希望する全ての高校生を対象とした文科省の調査によると、3月末現在の就職率は昨年より0.1ポイント増の98.2%となっている。9年連続の増加で、過去最高だったバブル期の1990年度(98.3%)にほぼ並ぶという、こちらも高水準となっている。
足元の景気の腰折れが懸念されているが、学卒の新規求人は景気の先行きを占う先行指標といっても過言ではない。依然として日本経済には力強さがあることは間違いない。もちろん、米中の〝貿易紛争〟などによる世界経済の停滞が懸念されており、そのような状況変化が現実のものとなれば日本への影響も否定できないだろう。
だからこそ、信頼できる政権がしっかりとした経済対策を進めることが不可欠となっている。
(terracePRESS編集部)