共産党候補を支援する野党は非民主主義
立憲民主、国民民主などの野党5党派は5月21日の幹事長・書記局長会談で、参院選の32の改選1人区のうち山形、福島、栃木、群馬、新潟、福井、三重、和歌山の8選挙区で候補者を一本化することで正式合意した。
このうち栃木と群馬は立憲民主候補、山形、福島などの5県は無所属候補で一本化したが、福井は共産党候補を支援することで合意したという。
野党5会派とすれば、自民候補に勝つという目的で一本化したのだろうが、共産党は他の政党とは異なり、少なくとも現在の民主主義制度を是としている政党ではないはずだ。それをわかっていながら支援するということは、自らも民主主義政党という看板を下ろしたに等しいだろう。
改めて指摘するまでもないが、共産党は綱領で「日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革が、課題となる」としており、社会主義、共産主義の社会を目指していることを明言している政党だ。
そして、綱領では「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される」とし、生産手段の社会化を明言している。
「社会化」という言葉は曖昧で分かりにくいが、ソ連も生産手段を社会化することで社会主義体制を作ったが、そのために国民は自由を奪われ、経済も失敗した。現在の共産党がどんなにソフト路線をとったとしても、生産手段の社会化を進めるということは、国民の権利の制限を目指していることと同義なのだ。
そんなことは、立憲民主も国民民主も分かっているはずだ。それでも共産党候補を支援することで合意したのは、単なる数合わせでしかないのだ。数合わせのために非民主主政党とも手を握るのが、現在の野党の実態だ。
メディアによると、国民民主党に合流した小沢一郎氏は「数合わせの何が悪いんですか。民主主義は数ですよ」と語ったというが、そんな薄っぺらな民主主義観だから、共産党との合意も進めるのだろう。野党は「民主主義を守れ」とことあるたびに主張するが、民主主義国家を守るという意思も気概もないのが今の野党の現実だ。
(terracePRESS編集部)