「もてなし」は国益を損ねたのか

新天皇即位後初の国賓となったトランプ米大統領と安倍首相の通算11回目となる首脳会談は大成功に終わった。多くの国民もそう感じているだろう。しかし、それは一部のメディアや野党を除いてだ。

 

一例を挙げれば、朝日新聞は「もてなし外交の限界 対米追従より価値の基軸を」、毎日新聞は「米大統領への特別待遇 長期の国益にかなうのか」と題した社説を掲載し、それぞれ、今回の日米首脳外交を批判している。その論点の一つが「トランプ氏をもてなす過剰な演出が際だった」(朝日)、「際立ったのは、トランプ氏への異例のもてなしだ」(毎日)など、安倍首相によるトランプ大統領のもてなしだというから情けなくなる。

 

朝日は「会談前日の日曜日、両首脳はまず千葉県のゴルフ場で16ホールを回り、昼食は米国産牛肉をつかったダブルチーズバーガーに。夕方は両夫妻そろって国技館で大相撲を観戦し、トランプ氏自ら土俵にあがっての米国大統領杯の贈呈。夜は六本木の炉端焼きで歓待した。国賓を丁重に迎えるのは当然だが、度が過ぎると言わざるをえない。首脳同士の『社交』はあくまで外交のためにある。その内実が問われねばならない」と批判し、毎日も「5度目のゴルフでは笑顔のツーショットを自撮りした。ソファを升席に並べた大相撲観戦では米大統領杯を新設し優勝力士を表彰する機会を設けた。夕食では炉端焼き店に招き、伝統的な和食をごちそうした」と指摘し、さも過剰なもてなしのような印象付けをしている。しかし、この接遇が国益を損なっているのか否かという検証は何もないのだ。

 

少なくとも、日本にとっての重要な同盟国の米首脳との緊密な関係を一層構築することができたし、それを内外にアピールすることもできた。それが国益を損なっているのだろうか。

 

安倍首相とトランプ大統領の共同記者会見についても、批判するところを穿り出さなければならないという姿勢で、対北朝鮮問題について、北朝鮮が発射した短距離弾道ミサイルについて首相が国連安保理決議に違反すると明言したのに対し、大統領が問題視しない考えを示したことを過大視し、「『完全に一致』しているという首相の言い分は、うわべを取り繕っているだけではないか」(朝日)などと、まさに批判するための批判しかない。

 

また、他メディアもそうだが、日米貿易交渉に関連し、大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)に縛られない考え明らかにしたことを、まるで「ほらみたことか」と言わんばかりに取り上げている。

 

発表によると、日米首脳会談では「両首脳は,茂木内閣府特命担当大臣(経済財政政策)とライトハイザー米国通商代表との交渉について、昨年9月の共同声明に沿って、議論が進められていることを歓迎し、日米ウィン・ウィンとなる形での早期成果達成に向け、日米の信頼関係に基づき、議論を更に加速させることで一致」している。

 

それでも会見でのトランプ大統領のTPP発言を取り上げたいのなら、メディアは、昨年9月の共同声明は「(略)交渉を行うに当たっては、日米両国は以下の他方の政府の立場を尊重する。-日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること。-米国としては自動車について、市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」と明記していることを紹介した上で、「トランプ大統領、昨年9月の共同声明を守りましょう」と指摘するのが務めだろう。

 

(terracePRESS編集部)