噴飯の〝日米密約説〟

野党が先の日米首脳会談をめぐり、日米貿易交渉について「密約があったのではないか」との主張が出ている。もちろん、安倍政権は否定しているが、米国の大統領の発言を引用し、日米間の合意文書でさえ無視して自国の政権を批判する野党の姿勢は、決して健全とは言えない。

 

「密約説」の火種になったのは、日米首脳会談の冒頭でトランプ大統領が日米貿易交渉に関し「8月に大きな発表ができる」と発言したことや、共同記者会見で質問に答え「私はTPPとは関係がない。私は何にも縛られていない。ほかの人とは違う。TPPはアメリカの自動車産業を破壊していただろう。またアメリカの製造業も破壊していただろう。私たちはTPPには参加していない。ほかの多くの国と違って、アメリカは縛られていない」述べたことだ。

 

野党などは、この二つの発言を組み合わせ「日本がすでに米国に大幅に譲歩する密約があり、それは参院選後の8月に公表される」と〝大胆に〟推測しているわけだ。否、推測というより曲解というほうが正しいだろう。

 

記者会見の冒頭では安倍首相が日米貿易交渉について「昨年9月の共同声明に沿って、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で議論が進められていることを歓迎する。本日の会談では、トランプ大統領との間で、日米ウィンウィンとなる形の、早期成果達成に向けて、日米の信頼関係に基づき議論をさらに加速させることで一致した」と指摘。

 

トランプ大統領が「今2国間の貿易合意を目指して交渉を行っている。両方の経済にとってプラスとなることだ。私たちは対日貿易赤字を削減しようとしている。貿易障壁、あらゆる障壁を取り除き、アメリカの輸出品が公正に、そして日本の市場に根付くことを願っている。アメリカの牛肉だが、初めて2003年以来、日本の市場に完全なアクセスを許された。さらに貿易問題で近いうちに多くを発表できるだろう」と発言している。

 

これが現在の両国間の貿易交渉の状況であり、これ以上でも、これ以下でもない。重要な点は、「昨年9月の共同声明に沿って」という点だ。改めて指摘するまでもないが「共同声明に沿って」とは、共同声明に「日本としては農林水産品について,過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること」と明記していることだ。

 

交渉を終わらせるメドについて安倍首相は「早期の達成」としているし、トランプ大統領は「近いうち」と述べており、両国が早期妥結を目指していることは間違いない。

問題はTPPの部分となるが、トランプ大統領は確かに「私はTPPとは関係がない。私は何にも縛られていない」との発言だが、米国はTPPに参加していないので、これは当然だ。

 

重視すべきはTPPではなく、日本の農林水産品目について言及した昨年9月の共同声明なのだ。そして、両首脳は、共同声明に沿って議論が進んでいることを歓迎しているのだ。

それにも関わらず、密約だと騒ぐ野党は、物事の本質すら見極められず、思考停止に陥っているとしか思えない。

 

(terracePRESS編集部)