改憲は時代の要請と受け止めるべき
憲法改正をめぐり国民民主党の玉木代表が、議論を進めることに意欲を示したという。日本をめぐるアジアなどの安全保障環境が激変している中で、改憲を進めるのは時代の要請であり、玉木氏の姿勢は政治家として当然のことだろう。
玉木氏は7月25日のインターネット番組で「私は生まれ変わった。議論を進め、首相にもぶつける」と明言し、26日には記者団に「首相が言う9条改正には反対だが、私たちとして改憲の考えを示す。党首討論が一番の舞台になる」と議論に意欲を示してみせた。
日本をめぐる安全保障環境は急速に変化しており、最近でも、島根県竹島周辺の上空でロシア軍機と中国軍機が合同飛行し、ロシアの早期警戒管制機1機が竹島領空を侵犯。日本と韓国の戦闘機がスクランブルしたことがあったばかりだ。
玉木発言は参院選で埋没した国民民主党と改憲論議に慎重な立憲との違いを示し、存在感をアピールする思惑があるとみられているが、立憲のように議論すら進めないというのは、国際情勢や時代認識オンチというほかはない。
しかし、その立憲の枝野氏でさえ、月刊「文芸春秋」の2013年10月号に、民主党の憲法総合調査会の会長として「憲法九条 私ならこう変える 改憲私案発表」と題する論文を発表している。
枝野氏は論文で、憲法9条に「自衛権に基づく実力行使のための組織」の存在を規定するほか、「我が国の安全を守るために行動している他国の部隊に対し、急迫不正の武力攻撃」があった場合に、その「他国」と「共同して自衛権を行使することができる」と規定することなどを盛り込んでいる。その上で、「今求められているのは、より冷静な分析と建設的な議論によって極論のぶつかり合いを収斂させること」と述べて、議論の推進を求めていた。
それが立憲民主党となると突如、現行の憲法9条を残し、自衛隊を明記する規定を追加する改憲には反対しているわけだ。参院選後のメディアとのインタビューでも「許すべきではないという勢力が3分の1を超えるのではないかという流れ」「民意は明確になっている」と、反対する考えを示しているが、世論調査などでは国民の約半数が改憲を支持していることが分かっている。決して民意は反対しているわけではない。
だからこそ、枝野氏が論文で指摘したように「より冷静な分析と建設的な議論」が必要なのだ。それが政治家としての責任だ。玉木氏の発言は、それを真正面から受け止めようということなのだろう。
(terracePRESS編集部)