日韓問題の責任はどこにある?

韓国政府が、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表したことは、日韓関係の緊張がさらに進んだことを示すものだ。日本と韓国の間の軋轢を、韓国政府がさらに安全保障の分野にまで持ち込んだことは、同じアジアの民主主義国家としての役割を自ら否定するに等しいだろう。

 

河野外相は、韓国の決定を受けて「韓国政府が本協定の終了を決定したことは、現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ない」と語っているが、まさにその通りだ。

 

ところで、悪化している現在の日韓関係について、その責任を日本や安倍政権に帰するような主張があるが、これはまさに「木を見て森を見ない」主張か、はたまた国内の政治的な思惑での主張でしかない。

 

一連の日韓問題では、韓国が2015年12月の日韓合意に基づき韓国で設立された「和解・癒やし財団」を解散し、事実上破棄したことや、自衛隊機へのレーダー照射に加え、旧朝鮮半島出身労働者、いわゆる元徴用工をめぐる韓国最高裁判決に対して韓国政府が有効で合理的な対策を取らないことなど、すべて韓国側に起因しているものだ。

 

さらに言えば、慰安婦合意の事実上の破棄は、二国間の合意を一方的に破棄するもので、自衛隊機へのレーダー照射は国際的、軍事上の慣例を無視したものだ。

元徴用工判決も、二国間の日韓請求権協定に反するうえ、日本側の協定に基づいた紛争解決の手続きの開始要請すら無視した。その上での今回のGSOMIAの破棄の決定だ。

これでも日本側、安倍政権に責任があるのだろうか。

 

確かに、日本は韓国向け半導体材料の輸出管理を見直したり、日本政府が輸出管理の優遇対象国から韓国を除外したりしている。これは事実だが、それはあくまでも安全保障上の観点からの、日本国の手続きの見直しだ。二国間の合意を破ったり、破棄したりしたものではない。韓国が日本に対して行った措置とは次元が違うのだ。

 

しかし、それでも日本の責任を問う主張もある。毎日新聞は8月23日付け朝刊の社説で「こうした事態を招いた責任の一端は、安倍政権にもある。韓国の文在寅政権が、徴用工問題や慰安婦問題で不誠実な対応を続けていることは事実である。だからといって、外交問題と経済政策を絡めたことは不適切だった。韓国側の強い反発は予想されたはずだ」と指摘している。

安倍政権にあるのは「責任の一端」としながらも、これまでの韓国の行動について真正面から批判することは避けている。

 

こうした姿勢をみせているのはメディアだけではない。日韓関係を憂慮するという東大教授ら有志が「韓国は『敵』なのか」という声明を発表している。「私たちは、日本の市民ですから、まずは、私たちに責任のある日本政府の問題を指摘したいと思う。韓国政府の問題は、韓国の市民たちが批判することでしょう」としているが、一連の韓国の行動を振り返れば、まず韓国政府、また日本製品の不買運動をしているという韓国市民に「日本は敵なのか」と問うべきものではないか。

 

(terracePRESS編集部)