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日米交渉で国益確保した安倍政権

フランスで先ごろ開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、安倍首相とトランプ米大統領が会談し、日米貿易交渉で基本合意した。発表によると、9月下旬にニューヨークで開く国連総会時に首脳会談を再び行い、署名することを目指しているという。

米国の農産物の関税引き下げについては、TPPの範囲内にとどまっているとみられ、安倍政権は、日米貿易交渉でも日本の国益を確保したといえる。

 

日米貿易交渉を巡っては、2018年9月の日米首脳会談の共同声明で「日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること」「米国としては自動車について,市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」とそれぞれの立場を明確にしていた。

 

今回の首脳会談に同席した茂木経済財政担当相は記者会見で、農産品と工業品、デジタル経済の3つの分野で「意見の一致をみた」と説明。米農産品の関税下げについては「過去の経済連携協定の範囲内で米国が他国に劣後しない状況を早期に実現する」と明らかにしている。これにより、日本が米国産牛肉にかけている38.5%の関税は段階的に引き下げ、2033年4月に9%になるが、これはTPPと同水準だ。

 

国際分業は自由貿易の基本で、比較優位を持つ国に財の生産を割り当てることで、国際貿易は最も効率的に国際分業を実現できるとされている。日本にとって比較劣位な財の生産を他国に委ねることが、結局、日本の消費者の利益となる。

 

しかし、農林漁業など食料安全保障の観点から、農林水産業の強化を果たしていくことも重要だ。

 

国内農業はTPPの発効によって新たな局面に入っているが、農林水産分野の分野についても政府はすでに、生産者の経営安定や安定供給に向けて米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源の5品目を重要品目と位置付けるなどの対策を実施している。

 

自動車については、日本が米国に要請してきた自動車本体の関税撤廃を先送りされたが、

輸入制限などの措置は当然のことながら回避されている。そもそも、日本のメーカーが米国の消費者が好んで購入したい車を生産している限り、関税が撤廃されなくとも日本車の競争力は確保できるはずだ。

 

首脳会談では、貿易協定とは別に、安倍首相が米産の飼料用のトウモロコシを購入する考えをトランプ氏に伝えたとされている。米中貿易摩擦で中国が購入しなくなったトウモロコシを肩代わりするなどと一部で批判されているが、もともと日本のトウモロコシの輸入は、国別でみるとそもそも米国が断トツの1位。2016年ベースだと、米国からの輸入が約1000万トンで、約1000億円となっている。今回輸入するのが約275万トンとされているが、日米の関係を強化するうえで、適切な判断だろう。

 

(terracePRESS編集部)

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